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その日の夜、買ってきたスーツを着てみて、ってとしくんが言うから着てみたけど。
自分では、なんか似合ってる気がしない。
でもとしくんは、
「すげー、似合ってる。
お姉さんみたい。」
って、誉めてくれるから、その場にスーツを着たまま正座した。
「としくん、私何かお礼がしたいんだけど。」
けっこう真剣に言ってるのに、
「そんなのいらないって。」
って、としくんは笑ってるだけ。
「Aが頑張って、同じ大学に入ってくれて、
これからも一緒にいてくれて、
俺、すごい嬉しいから。
だから、これくらいしたって、全然足りないくらいだよ。」
「皺になっちゃうから、着替えておいで。」
って、優しくハグしてくれて、
「明日は、文房具とか買いに行こっか。
入学したら、教科書とかも一緒に買いに行こ？」
そう言ってくれるとしくんは、本当に私のことばっか考えてくれてるから、
なんか逆に申し訳ない気持ちになってくる。
「としくん、もういろいろ買ってくれなくていいからね。
お母さんに入学準備用のお金もらってるから。」
「大丈夫、Aの服買ってあげるだけにしとくね。」
そう言ってくれたけど。
次の日、一緒に出掛けた文具屋さんでも、としくんが一通り買ってくれたから。
家に帰ってきてから、ちょっとケンカになる。
「せっかく、としくんが一生懸命バイトして貯めたお金なのに、
私なんかのために使わないで。」
「私なんか、とか言うなよ。」
としくんの口調は優しいけど、静かに怒ってるのはわかる。
「だって、買ってもらってばっかで申し訳ないし。
私は何もしてあげられないし。」
「もう十分もらってるよ、Aからは。」
「でも、私も何かしてあげたいもん！」
そう言うと、としくんはしばらく黙ってたけど。
「ごめんね、A。」
って、すぐに謝ってくれる。
それが、としくんのいいところでもあるんだけど。
としくんは何も悪くないのに、すぐ謝るから、
なんかもう…、引っ込みつかなくなってきた。
「何で謝るの！？
としくんは、なんにも悪くないのに！」
わかってる。
私が一番悪い。
『ありがとう』って素直に喜んでおけばいいのに、
ゴネて、困らせて、としくんに謝らせてしまった。
だけど、素直に謝れない自分がいる。
なのに、としくんは笑顔で私の頭を撫でながら、
「Aにいろいろしてあげたかっただけなんだ。
嫌な思いさせてたら、ごめんね。」
って、また謝るから。
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りた(プロフ) - あっちゃんさん» コメントありがとうございます(≧∇≦*)そう言って、いただけてありがたいです。近々更新予定ですので、どうぞよろしくお願いします(≧∇≦*) (2015年11月9日 7時) (
レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - とても好きなお話なので更新楽しみにしてます。 (2015年11月8日 23時) (レス) id: 32077ab7c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2015年9月25日 11時
