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なんとか、お詣りできるところまでたどり着いて、

としくんがようやく手を離してくれた。

2人で一緒に鈴を鳴らして、お賽銭を入れて、願い事をする。

私のお願い事は決まってた。

『ずっと、としくんといられますように。』

願い事が終わって、チラッと横目でとしくんを見たら、

私より長く願い事をしてた。

すぐに目が合って、

「いつから見てたの?」

って、笑ってる。






いつの間にか、としくんの家族とはぐれてしまって、2人きりになってしまっていた。

ずっと、2人で手を繋いで、家までの道を帰る。

「としくん、何をあんなにお願いしてたの?」

でも、

「秘密。」

って、にっこり笑いかけられるだけ。

「じゃあ、Aは何をお願いしたの?」

「私はねー、としくんとずっと一緒にいられますように、だよ?」

正直に、そう答えたら、としくん黙ってるし。

あれ?

私、変なこと言っちゃった?

重い、とか思われてる?






「…としくん?」

名前を呼んでも、としくんはまだ、黙ってるから。

「ごめんね?
重かったかな。」

そう謝ったら、ゆっくり腕が引かれて、抱きしめられた。

真冬の深夜の歩道で。

誰もいないけど、なんか恥ずかしい。

「俺も、Aと同じことお願いしてたよ。
でも、もっと重いこと、お願いしてたから。」

って、頭をずっと撫でてくれてる。






しばらくそうしてたら、後ろから誰かの声が聞こえてきて、慌てて離れた。

はぐれたはずの、としくんの家族が後ろからやってきて、私達は繋いでる手も外した。

家に帰ってきて、お父さんは寝ちゃって、みんなでまだテレビを見ながらのんびりしてたら、

お母さんから急に、

「Aちゃん、大学、合格おめでとう。」

って、言われて、驚く。

「としくんが勉強をいっぱい教えてくれたからです。」

思わず、正座して頭を下げる。

「入学式は、お母さんが来てくれるの?」

「…多分、来れないです。
弟が、あっちの学校に入学するので、そっちの方が忙しくて。」

そうしたら、いきなり、

「じゃあ、私が行こうかな、Aちゃんの入学式。」

って言われるから、としくんと顔を見合わせる。

「もう、うちの娘みたいなもんだし。
年末年始もお盆も、いつでも帰ってきていいからね。」

って言われて、なんかすごく感動してしまった。

としくんのお母さんってすごい。

私も、将来この家に帰って来れるようになれたら、本当にいいのに、って思ってたんだ…。

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りた(プロフ) - あっちゃんさん» コメントありがとうございます(≧∇≦*)そう言って、いただけてありがたいです。近々更新予定ですので、どうぞよろしくお願いします(≧∇≦*) (2015年11月9日 7時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - とても好きなお話なので更新楽しみにしてます。 (2015年11月8日 23時) (レス) id: 32077ab7c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2015年9月25日 11時

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