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「ただいまー」

って、ガラガラと、としくんの部屋の戸が開く音がして、仕切り板をくぐって、部屋に入って来る。

入ってきてもいいよ、って時は、カーテンを開けてるのが合図。

今日は、試験終わりで早く帰ってきたから、午後からずっとカレーを仕込み中。

「すげー、いい匂い。」

って、いつもの定位置に座るとしくん。

私の定位置は、ベッドを背にした、テレビの真正面。

としくんの定位置は、ベランダを背にした、私の斜め左の位置。

何故かいつも、この位置なんだよね。

お客さんだから、テレビの前に座るように勧めても、

「そこは、Aちゃんの場所でしょ?」

ってニコニコ。

でも、としくんの部屋に遊びに行くと、テレビの前の一番いい席に座らせてくれる。

私のために、ふかふかなクッションや、ひざ掛けまで用意してくれて。

本当に優しいんだ、としくんは。





「超うまいじゃん、このカレー。」

って、としくんに満面の笑みで言われて。

すごい幸せな気持ちになる。

でも、ずっとモヤモヤしてることがあって。

素直に幸せに浸れない自分がいる。




それは…、としくんが、好きって言ってくれないこと。

…というより、私のこと、どう思ってる?

聞きたいけど、聞けない。

この関係が終わってしまうのが、本当に怖いから。

としくんが、私のそばから消えてしまったらどうしよう。

それくらい、私にとって、としくんは必要な存在なんだよ?

初めて会った時から、ずっと好きだった。

としくんが優しいのは、私にだけ?

それともみんなに?






食べ終えると、としくんがお皿を洗ってくれる。

これは、いつの間にかできた、2人のルール。

作ってもらった方が、洗い物。

最近は、2人で食費出し合って、一緒に食べるようになった。

洗い物をしてる、としくんの背中を、じーって眺める。

いつも笑顔のとしくんだけど、たまに真面目な顔をする時って、すごいカッコイイんだ。

そのギャップも、大好き。




「え?
どうしたの?
何見てるの?」

って、私の視線に気づいたのか、としくんがこっちを見る。

「ううん。
なんでもないよー。」

って言ったら、洗い物を終えたとしくんが、濡れた手を拭きもせずに私の前に立つ。

濡れた手のまま、私の頭をぐしゃぐしゃってしてくるから、

「としくん!
そんなこと、他の女の子にしたら、嫌われちゃうよ?」

って言うと、急に真面目な顔になって。

「A以外の子に、そんなことしないよ。」

だって。

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りた(プロフ) - あっちゃんさん» コメントありがとうございます(≧∇≦*)そう言って、いただけてありがたいです。近々更新予定ですので、どうぞよろしくお願いします(≧∇≦*) (2015年11月9日 7時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - とても好きなお話なので更新楽しみにしてます。 (2015年11月8日 23時) (レス) id: 32077ab7c5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2015年9月25日 11時

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