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肩枕かあ。

ちょっと前の私なら、ドキドキして眠れなかったかもしれない。

でも今の私は意外に平気だった。

玉森先輩の頭を向こうに押しやりたいとこだけど、とにかく眠くて仕方ない。

だから、そのまま無視して寝ることにした。







「着いたよ。」

みつ先輩の声がして、目覚めるとそこは海のそばの駐車場だった。

みんな既に起きていて、もしかして爆睡してたのって私だけ?

「意外に早く着いたね」

みんな、車を降りて砂浜へ遊びに行ってるけど。

寝起きの私は、車から降りたものの砂浜まで行く元気もなく。

駐車場のベンチに座って、再び眠ってしまっていた。




「しかし、よく寝るな、こいつ。」

「かなり疲れてんじゃん?
週6勤務らしいよ。」

「どんだけ金が欲しいんだよ。」

みつ先輩と玉森先輩らしき会話が、聞こえてくる。

私はまだ半分眠りの世界にいて、ぼんやり2人の会話を聞いてるだけ。

「頑張りすぎなんだよ。
限度を知れっての!」

「だから、連れてきたんだろ?
旅行中は労わってやれよ?」

「は?
なんで俺?」

「玉が無理にでも連れてきたかったんだろ?
Aちゃんを。」

「そうだけどー…。」

そかそか、玉森先輩はこの旅行で私のこと労わってくれるんだね。

楽しみ。

そんなことをぼんやり思いながら、また深い眠りに落ちて行った。





「いい加減起きろよ。
みんな到着してんだけど。」

ベンチを揺さぶられて、慌てて飛び起きた。

目の前には、海をバックに逆光で仁王立ちする玉森先輩の姿。

寝起きでぼんやりしてる私の手を引いて、立ち上がらせてくれた。

「荷物、旅館に運んどいたから。」

ふと、さっきの2人の会話を思い出す。

そかそか、今日はいたわってくれるんだっけ?私を。

玉森先輩は相変わらず早足で、旅館までの道を歩いていくから、

私も慌ててついて行く。

前にもあったな、こんなこと。

でもあの頃の私とは違うから。

だから、玉森先輩を追いかけるんじゃなくて、自分のペースで歩いてみることにした。

そのうち、玉森先輩と私の距離はぐんぐん広がっていって。

そんなことにも気づかず、先を歩いていく玉森先輩。

これが、私と玉森先輩の現実だ。





さすがに途中で気付いたのか、玉森先輩は立ち止まってはこちらを振り返る。

それでも私は自分のペースで歩いていた。

「おせーんだよ、チビ」

だけど驚いたのは、玉森先輩がまるで迎えに来るように、こちらに歩いてきたことだった。

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わかめ(プロフ) - さやさん» そうだったんですか!3月27日ですかね。すごい偶然ですねー(*'ω'*) (2016年12月30日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
さや - 主人公の誕生日、本当に私の誕生日と一緒で読んでいてえー!って声に出しちゃいました笑。 (2016年12月28日 11時) (レス) id: d66c22dd39 (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - masamiさん» コメントありがとうございます(*'ω'*)そう言っていただけたら、勇気が出ます。また読んでやってくださいねー(*'ω'*) (2016年2月16日 11時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
masami(プロフ) - すっごく面白かったです!最高です! (2016年2月15日 23時) (レス) id: 3e1fab29aa (このIDを非表示/違反報告)
りた(プロフ) - まおさん» 朝から読んでくれてありがとうです(/ω\)私は学生だけど、社会人でもあります。教員免許を取るために、働きながら、今二度目の大学生活なう、なんですwwお恥ずかしい(/ω\) (2015年10月1日 16時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2015年9月13日 18時

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