ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ

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「休み取りなよ。」

とか、

「働き過ぎじゃん。」

とか、言われながらも、ひたすら愛想笑いでやり過ごした。





なんとかみんな納得してくれて、来月半ばの週末、実行委員会の温泉旅行は決まった。

ミーティングが終わり、帰り支度をしていると、

部室の隅で、玉森先輩が私に手招きをしていた。

なんか嫌な予感がして、動けずにいたら、

「早く来いよ！」

って、不機嫌そうな声で呼ばれるから、

渋々、先輩の元て近付いた。







「何？
何で？」

不機嫌そうな玉森先輩の声。

「え？何がですか？」

そう聞き返したら、

「温泉旅行だよ！」

って、更に不機嫌そうな声。

「何で行かないわけ？
意味わかんないんだけど。」

てか、何で玉森先輩が怒るわけ？

意味わかんないのはこっちだよ。

「行かないんじゃなくて行けないんです。」

「は？
意味わかんねーし。
理由は？
バイトなんて、休みとれるだろ？」

何でこんなに怒ってるの？

なんだか私も腹立ってきた。

「何で先輩がそんなに怒るんですか？」

そう口答えすると。

両頬を片手で掴まれて、ひよこみたいな口にされてしまった。

「来いよ、とにかく。
あれさ、宮田がAのために計画した企画なんだから。」

なるほど、そういうことか。

ずいぶんと友達思いですな。

ようやく手が離されるけど、相変わらず不機嫌モード全開の玉森先輩。

「Aは参加って、みつに言っとくから！」

って、そのまま部室を出て行っちゃった。

後でみつ先輩には改めで、断っておこう。

行きたくてもお金がないわけで。

貧乏って、本当に辛い。





帰り道、宮田先輩と一緒になった。

「玉森先輩から聞きました。
温泉旅行、宮田先輩が企画してくれたって。」

「玉、言っちゃったんだ？
Aちゃんさ、打ち上げすんごい楽しみにしてたのに、倒れて行けなくなっちゃったじゃん？
打ち上げ自体も、あんま盛り上がらなかったみたいだし。
じゃ、もう一回派手な打ち上げやりたいなって。」

宮田先輩、優しいなあ。

玉森先輩と宮田先輩、足して２で割ればいいのに。

「実はね、宮田先輩。
絶対に誰にも言わないでくださいよ？」

って念押して、宮田先輩には正直に話すことにした。

「実は今、私、超絶お金がなくて。
生活もカツカツで。
でもこんな話、みんなの前で恥ずかしくて言えないから。
だから、せっかく企画してくれたのに、ごめんなさい。」

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