ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ

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だから、

玉森先輩と距離が縮まっていく中、

私は玉森先輩への恋心を、徐々に抹殺していくようになった。






だって、玉森先輩を本気で好きになったら、私はきっと、正常じゃいられなくなるから。

玉森先輩を取り巻くたくさんの女の子に、いちいち嫉妬しちゃいそうだし。

玉森先輩の一挙一動に、喜んだり傷ついたりとか。

きっと、精神病んじゃうと思うんだ。

だから、玉森先輩のことを好きにならないように、

自分で自分に、暗示をかけた。






このままの距離がいいんだよ。

今の私の地位は、なんでも言えちゃう後輩で。

そのうち玉森先輩のことなんて、幻滅しちゃう日が来るかも。

そうしたら、次に好きな人が現れるかもしれない。

でも玉森先輩より、好きになれる人なんているのかな…。









この日の委員会は全体会議で、

今年の実行委員長は、北山先輩。

玉森先輩が、

「みつ」

っていつも呼んでるから、自然に委員会では「みつ先輩」って呼ばれている。

みつ先輩の仕切りはいつも素晴らしくて、会議も早く終わってしまう。




16時から始まった会議は、17時にはもう終わっていた。

さすが、みつ先輩。

他の先輩の仕切りの会議では、終わりが21時過ぎることもあるのに。

部室を出るとまた、綺麗な女の子が玉森先輩のことを待っていた。

「裕太くん。」

可愛らしい声で、嬉しそうに先輩に歩み寄ってくる。

１年生の私たちは居残りで片付けが残ってるから、部室の中から、チラ見するだけ。




「今日は何時になるか、わかんないって言ったじゃん。」

そっけない感じの玉森先輩の声が、廊下から聞こえてきた。

女の子が何か言ってるけど、声が小さくて聞き取れない。

そのうち声が聞こえなくなって、２人はどこかへ行ったんだろうと思ってた。

だから私はゴミ袋を持って、廊下のゴミ捨て場に出たんだけど。







途端、聞こえてきたのは、女の子の泣き声。

声のする廊下の奥を見ると、玉森先輩とさっきの女の子がいて。

女の子が泣いているのが見えた。

「だから俺、頼んでなくない？」

珍しくイライラしてる感じの、玉森先輩の声。

今、ここでゴミを捨てちゃったら、２人に気づかれてしまう！

そう思って、そっと後ずさり。

「すぐ泣くとか、本当めんどくさい。」

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