ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ

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軽トラは大学に着き、実行委員会のみんなで荷物を降ろした。

倉庫に入れて、後は軽トラを返しに行くのみ。

「Aちゃん、昨日頑張ってくれたから、
今日はもうこれで、上がっていいよ。」

そんなみつ先輩の言葉に喜んでたら、

また、パーカーのフードを掴まれて、軽トラの助手席に押し込められてしまった。

「軽トラを返してからね。」

軽く威圧されて、有無を言わせず連行される。

そしてまた、片道15分の軽トラの旅のはじまり。






「先輩、１人で軽トラ返してこれるじゃないですか。
荷台も何も載ってないし、私、必要ないと思うんですけど。」

そう不満げに訴えたら、

「朝飯おごってやっただろ？
その分、働け！」

そんな悪態をついたあと、

「だって、1人だと寂しいじゃん。」

って、ボソッと。

そういうこと、言わないでよ。

先輩は萌えとdisりを交互に繰り出してくる、悪魔みたいな人だ。









軽トラを無事返却し、電車での帰り道。

直帰できるから、途中の駅で降りることを告げると、

「そう。
じゃあね、お疲れ。」

あっさり手を振られてしまった。

寂しいんじゃなかったっけ？

何？その、そっけなさぶりは。





家に着いて、LINEが届いていることに気付く。

LINEを開くといきなり、今朝の隠し撮り写真が貼り付けられていた。

肘掛にもたれかかって寝てる私の膝枕で寝ている玉森先輩と、

幸せそうな玉森先輩の寝顔のアップ写真。

その後、メッセージが届く。

『今日はお疲れ！
今朝の写真。
この写真をネタに、玉に新しい仕事を押し付けてやったぜ！
この写真をみんなに送られたくなければ看板もやれってねw
玉1人に押し付けてやろうと思ってたのに、Aちゃんまで、巻き添えにしちゃってごめんね！
でも、頑張って！』

なるほど。

だから今朝、あんなに怒ってたんだ。

私の膝の上で寝てたって気付いて、あんなに耳を真っ赤にしてたわけだ。

…可愛いじゃん。

この２枚の写真は、私の携帯の秘密のフォルダにこっそり保存。

辛い時は、この写真を見て頑張れそうな気がする。

それにしても今年の夏、なーんもなかったな。

唯一の思い出は、先輩の運転する車で往復30分のドライブをしたことかな。

ま、軽トラでだけど。

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