続・金曜日のよるたま

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「何で俺のことを避けてんのか、聞いてんだけど？」

いつもならあっさり流してくれるくせに、今日の玉は更に私を問い詰めてくる。

…言えるわけないじゃん。

キスされて、勝手に動揺して気まずくなってるだなんて。

「そんなに怒らなくてもいいじゃん」

だから私も逆ギレみたいに、不貞腐れて返してやる。

怒りたいのはこっちだよ。

「別に怒ってないけど？
Aの態度が気に入らないだけ」

私が不貞腐れてるからか、玉も不機嫌から不貞腐れモードに突入してくる。

「怒ってんじゃん」

「怒ってないって言ってんじゃん」

まるで小学生のケンカみたいなやり取りをしたあと、しばらく沈黙が続いた。

こういう時間が、私には息苦しくて困る。

今までは、玉と無言の時間が続いても、気まずさを感じたことなんてなかったのに。

あのキスのせいで、私一人がおかしくなっちゃったんだ。









「キスしたから？」

不意に玉が漏らした言葉で、この部屋は氷点下まで冷え込んだような気がした。

…言っちゃった。

てか、覚えてたんだ？

「どういう意図でキスしたの？」、そう聞きたいのに、答えを聞くのが怖くて声も出せなかった。

「キスしたから意識してるとか？」

ずいぶんハッキリ言うんだね。

でも私は、何も答えない。

「キスされたのが嫌だったから、避けてるってこと？」

そう言った玉の声が少しだけ悲しげに聞こえて、心配になった私は顔を上げる。

すぐに玉と目が合ったけど、すっと逸らされてしまった。








「なんでキスしたか、その意味が知りたかっただけ」

なのに玉は、不貞腐れて答える。

「意味って必要？
それを答えたら、Aはどうするわけ？」

「わかんないよ、でも…」

「でも、何？」

今日の玉は嫌いだ。

いつもより怖い顔をして、私に詰め寄ってくる。

だから玉に近づきたくなかったのに。

いつまでも境界線スレスレのところで、男女の友情ごっこをしていたかったのに。

何で一線を越えてこようとするかな。

またしばらく、私達の間に気まずい沈黙が流れる。

もうやめようよ、こんなの。

元の兄妹みたいな関係に戻ろうよ。







なのにまた、玉は無断で私に仕掛けてきた。

この間より長めの、言い訳なんて出来ないような完璧なキスを。

…最悪だ。

また私は、この先一週間、モヤモヤして眠れなくなってしまう。

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