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45万のシルクのパジャマの着心地は…、それはもう最高だった。
だけど、しっくりこない。
バスルームから出てきた私を見て、玉は満足げだったけど。
そんなことより私は、どうにかして玉より先に寝室に行かなければと、その隙を狙っていたのに。
私より一足先に寝室に入った玉は、あっさりとそのプレゼントを見つけてしまった。
「え?何?
何か入ってんだけど」
と、勝手にごそごそし始めた玉は、シルクのパジャマを取り出してしばらくフリーズしていた。
ああ…、玉の買ってきた45万のパジャマと比べると、そのシルクのパジャマがやけに安っぽく見える。
だけど、いきなり弾けるように笑いだした玉は、
「何?俺ら、同じものをプレゼントに選んでたわけ?」
そう言っては、ベッドの傍らで放心するように突っ立っていた私に向かって、手を伸ばした。
「やっぱ、俺ら思考回路が似てんのかもね
Aも俺に気持ち良く眠ってほしいって思ったから、これを選んだわけじゃん?」
ベッドの上に上がらされた私は、何故か正座をしながら萎れていた。
「玉がくれたものとは、値段が違い過ぎるけどね」
なのに玉は、私の声がまるで聞こえてないかのように、着てた部屋着を脱いでは、そのパジャマに着替えてしまう。
「いいじゃん
すごい、肌触りがいい感じ」
とか言いながら、そのまま灯りを消して、さっさと自分だけシーツの中に潜り込んでしまった。
私の腰を引いて、シーツの中に誘導しながら、
「こんな幸せなクリスマスは初めて」
とか、本当に幸せそうな声で呟くから。
私の卑屈な心は、チクチクと痛みはじめる。
「来年のクリスマスも、Aとプレゼントがカブったりするかもね」
「わかんないよ
来年のクリスマスは、もう一緒にいないかもしれないし」
そんな意地悪なことを言ってみても、玉は簡単に笑い飛ばす。
「いるんじゃない?来年も
なんだかんだで、結局ずっと俺らは一緒にいそう」
「ずっと、ってどれくらい?」
「一生か、その次の人生も一緒にいそうな感じ」
サラリとそんなことを口にしては、玉は小さくあくびをしてから、
「もう寝よ
明日はちゃんと起こして」
そう言い残して、それきりしゃべらなくなってしまった。
私のよるたまは、もう毎週金曜日に私の部屋にやってくることはなくなった。
だけど毎日、私の待つ部屋に帰ってくる。
そして金曜日のよるたまは、私だけの秘密のよるたまになった。
END
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りたわかめ(プロフ) - よーこさん» よーこちゃん…(/ω\)こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします(/ω\) (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 和子さん» そんな風に言っていただいてうれしいです。こちらこそ、ありがとうございました♪ (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - Mayさん» こちらこそ、お付き合いいただいてありがとうございました。これからもゆるゆるな日々が続いていくと思われます♪ (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - lily810さん» こちらこそ、お付き合いいただいてありがとうございました。クリスマスに無事書き終えることが出来て、感無量です(/ω\) (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - chiiiさん» またまたお返事が遅くなりまして、申し訳ないです。何とか完結いたしました。読んでいてもらえたらうれしいなあ♪ (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年9月5日 0時