続・金曜日のよるたま

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今にも寝ちゃいそうな玉の体を隣から揺さぶる。

瞼を閉じたまま、玉は答える。

「寝ちゃダメだって
明日の仕事は何時に出るの？」

「…７時」

これは相当疲れてんな。

このまま放置してたら、確実に寝ちゃいそうな雰囲気。

「ねえ、家に帰って寝た方がいいよ」

肩を揺らしてみるけど、反応はない。

手を取って、起き上がらそうとしてみるけど、脱力してるせいで全然びくともしない。

あ…、手のひらが暖かい。

小さい頃、妹が眠くてグズり出したら、こんな風に手のひらがほかほかと暖かくなってたっけ。







でも明日も仕事があるわけだし、どんな手を使ってでも叩き起こして自宅に送り届けなきゃ！

「ねえ、起きてって
家に帰って寝た方がいいよ」

「…じゃあ、A送ってよ、家まで」

薄目を開けた玉は、思いっきり眉根を寄せてそんな我儘を言い出す。

「そんなこと、できるわけないじゃん」

「タクシー捕まえて、一緒に乗ってけば？
A、どうせ明日は休みなんじゃないの？」

「そんなの写真に撮られたらどうすんの？」

そう答えても、もう返事はない。

…寝ちゃってるじゃん！！！








もうこれは、起こすのは不可能に近い。

今の私にできるのは、玉を快適に眠らせて、明日の仕事に間に合うように起こすこと。

ベッドサイドの目覚まし時計とスマホのアラームを６時にセットして、玉を乱暴に叩き起こす。

最高潮に不機嫌そうに瞼を開いた玉に一言。

「明日の朝、起こしてあげるから、早くベッドで寝て」

その瞬間、玉が一瞬だけずる賢い顔をしたのを、私は見逃さなかった。

「起こすだけ？」

「十分でしょ、それだけで」

「添い寝は？」

添い寝って…、そこまで要求する？

泊めてあげるだけでも感謝してほしいのに！









無言でベッドに乗れば、玉もようやくベッドに移動してくる。

明かりを消した途端に、急に饒舌になった玉は、

「本当は年が明けるまで会うつもりはなかったんだけど」

と、前置きしたあとで、私に背中を向けた。

「なんか…、今日食べた差し入れのお菓子が美味しかったから
すぐにAに食べさせてあげたいなって思って、それで来ちゃった」

…可愛いヤツめ。

美味しいものを食べた時に、すぐに「食べさせてあげたい」って誰かの顔が浮かぶ時は、もうかなり恋愛に溺れてる症状らしいよ？

それきり玉は静かになったから、もう眠ってしまったんだろう。

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