続・金曜日のよるたま

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「すべすべのほっぺとか、ほっぺたをつまんだ時の弾力とか
なんかもう、ほとんど思い出せないんだけど」

肌の感触とか言い出すから、一体何のことかと思ったら、そういうことね？

玉はいつも、私のほっぺたをふにふにとつまんで遊んでるから。

「私も玉の髪、触ってないな」

思わず私も、そんなことを呟いてしまう。

最初は髪を触られるのを嫌がってたくせに、最近の玉は自由に触らせてくれるようになったんだ。

それこそ、ぐしゃぐしゃに掻き混ぜても怒らない。

私が向こうを向いてる隙に、さりげなく髪を直してたりはするけど。







「いつ会えんだろうね、俺ら」

そう呟いた玉の声は、軽い感じにも聞こえるけど、その奥にはやっぱり切なさが混じっていて、私もどう返していいかわからなくなる。

「あとさ…、正月休み、俺ん家においでって言ってたじゃん？
正月休みも今年は短いみたい
１日か２日休めたらいい感じなんだって」

「じゃあ、帰省した方がいいよ
親戚が集まるとか言ってなかった？」

「もう今年はいいかなって
短いけど、Aと正月休みを過ごせたらいいなと思ってる
だから泊まりきて、俺ん家」

やっぱりお正月は玉の家に行くことになっちゃうんだ？

うちの実家には「今年は帰省しなくていいから」って早々に言い渡されてるから、暇ではあるんだけど。

お泊まり…。

しかも玉の家。

…なんか、変な胸騒ぎがする。






「準備しとくから、いろいろ」

「…準備って何の？」

「お泊まりだし、食べ物とかも必要だし
２人でやることとか、いろいろ準備しとく」

…２人でやること！？

聞き返したいけど、怖くて聞き返せない。

「何か新しいゲーム買う？
２人でやれるやつ」

…なんだ、ゲームかよ！

肌の感触とかお泊まりとか、今日の玉は意味深なことばかり言ってくるから、変な想像をしちゃったじゃん。

「桃鉄とかやる？
久しぶりにやってみたいかも」

「えー…、だって絶対玉は私にキングボンビーとか押し付けるじゃん」

電話の向こうで楽しそうに笑う玉の声が聞こえて、たったそれだけで胸がきゅーっと痛くなった。

早くお正月が来ればいいのに。

クリスマスも年末も、玉とは一緒にはいられないけど。

お正月にはようやく、生身の玉と会えるのかな。

…てか、今月はきっと、もう玉には会えないんだろうな。

私はもう何日、玉の肌に触れてないんだろう。

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