続・金曜日のよるたま

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玉、来てたんだ？

外出禁止令が出たとか言ってなかったっけ？

もう寝てるだろうけど、一応お礼のメッセージを送ってみる。

『来てたんだね、ありがとう』

冷蔵庫に入ってたスポーツドリンクをひとくち飲んで、再びベッドに潜り込んだ。

なのに、いきなりスマホが震えだす。

玉からだ…。

こんな時間に起きてたわけ？








『起きた？』

電話の向こうから聞こえてくる玉の眠そうな声は、何故だか私を安心させた。

「起こしてくれたらよかったのに」

『熟睡してたから、買ってきたものだけ置いてきたんだけど』

確かに、いつもは眠りの浅い私なのに、今日の眠りは嘘みたいに深かった。

『風邪ひいたんだろ
なんか、電話の様子が変だったから』

「玉はすごいね」

『なんか、わかるから
Aの声の感じで、体調とか機嫌の悪さとか、そういうの』

偉そうに言ってるけどさ、そんなの私だってわかるからね。

声とか顔を見てるだけで、喜怒哀楽とか全部。

玉はわかりやすいから。







『なんかまた、なかなか会えなくなるかもね
こんなご時世だし、俺も外出自粛令が出ちゃったし』

つまらなさそうな声を隠しもせずに、玉はそんな弱音を吐く。

きっと今、絶対に唇を尖らせてるはず。

「私と会えなくて、寂しい？」

意地悪くわざとそんな聞き方をすれば、玉は案の定、無視をかましてくる。

だから私も斜め下から攻めてあげる。

「私は寂しいけどね、玉に会えないとか」

見えなくてもわかるよ。

きっと電話の向こうの玉は、思いっきりニヤけてるはず。

『まあ、会いに行っちゃうかもね、こっそり』

「禁止令出されてるのに？」

『だってAが、会いたがるんなら仕方なくない？』

「私のせいにすんな」

そう言い返したら、電話の向こうで玉は心地よさげに笑う。

その笑い声は、私の精神安定剤だ。

聞いているだけで、心が安らかになるから。







『Aは年末年始は実家に帰んの？』

「まだ決めてないけど、お正月は帰るかも」

『じゃあ、一緒に帰省する？』

「一緒にって、どうやって？」

『車で帰る予定だし、Aの家まで送り届けてあげる
その後で地元で遊んでもいいし』

何言ってんの？

玉の車に同乗なんか出来るわけないじゃん！

誰が見てるかわかんないし、写真でも撮られたらどうするわけ？

『それとも帰省はせずに、年末年始はずっと俺ん家に隠る？』

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