続・金曜日のよるたま

真夜中のよるたま ページ22

「外出禁止令が出ちゃった」

夕方にかかってきた電話で、玉は溜息混じりにそう告げた。

ちょうどよかった。

私も昨日から風邪気味で、今日は会わない方がいいんじゃないかなって思ってたから。

「うん、今日はやめとこう」

今夜は早めに寝てしまいたい。

熱が出てるわけじゃないけど、やたらと身体が怠くて仕方ないから。

「ちょっと気になるソフトがあるんだけど
Aもダウンロードしてよ
今夜やらない？それ」

…玉が気になってるソフトは知ってる。

ゲームの趣味が似ている私達だから、そのソフトは私も前から気になってたよ。

だけど今日は、そんな気分にはなれない。






「今日はやめとく
なんか疲れてて、眠いんだよね」

体調が悪いことを玉に告げるのは面倒くさくて、そんな言い方をして誤魔化した。

しばらくの沈黙のあと、

「…何かあった？」

探るような玉の声が聞こえてくる。

「ないない
ちょっと仕事が忙しくて疲れてるだけ」

だけど、電話の向こうで変な沈黙は続く。

「ふうん、お大事に」

そんな言葉を残して、電話は切れてしまった。

玉はこういう時、意外とそっけない。









その日の私は、夜の7時にはベッドに入っていた。

食欲ないから、夕食は抜き。

熱はなさそうだけど、やっぱり風邪かもしれない。

この一週間、玉も来てないし、出社もしてないから、何かに感染してるってことはなさそうだけど。

部屋の明かりを消して瞼を閉じたら、一気に体が沈むように重くなっていく。

…こういう時、一人暮らしは厄介だ。









沼に落ちていくように眠り続けて、真夜中にふと目を覚ました。

今、何時？

枕元のスマホを手に取ってみるけど、反応がない。

そうだ…，寝る前に電源を切ってたんだった。

なんとか電源を入れたら、玉からのLINEが入っていた。

『もう寝た？』

という、２０時頃に届いたメッセージのあとに、

『机の上と冷蔵庫を見て』

２２時頃に送られたメッセージ。

机の上と冷蔵庫？

時刻は深夜３時。

スマホをかざして机の上を照らしたら、見慣れたレジ袋が置かれていた。

…何だこれ？

怠い体を起こして、ベッドから降りる。

真っ暗な部屋の中、スマホの明かりだけを頼りにレジ袋の中身を確認。

私の好きなお菓子やおにぎりなんかの軽食と、

冷蔵庫にはプリンやペットボトルが入っていた。

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