続・金曜日のよるたま

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「…最近よく来るけど、張られてるとか言ってなかった？」

必死の思いでそんな抵抗をしてみるけど、

「なんか大丈夫みたい
それに俺も、裏技見つけたしね」

と、サラリと答えられて終了。

「何？裏技って」

「秘密
それより風呂入っていい？」

当然とも言わんばかりの態度で、玉はバスルームに消えていく。

その背中を見送りながら、私は密かにため息をついた。

今までだって玉がこの部屋に泊まることは何度かあったけど、今夜は少し様子が違うよね？

付き合うことになって初めてのお泊まりなわけで。







うちに置きっぱなしにしている部屋着に着替えた玉は、隣に座ってきたものの、

「もう寝ない？」

と、上目遣いでチラリとこちらを窺い見てくる。

目が合うと、ふいっと逸らすくせに。

今夜は玉がやってきた時間が遅かったせいもあって、もう時刻は深夜0時をまわってるけど、

いきなり泊まるとか、玉はいつも自己中心的で困る。

「ゲームしないの？」

「しない」

「何で？」

「今日は疲れてるから、眠い」

そう言った玉は、そのままベッドに潜り込んでしまった。

そして、ベッドを背にして座ってる私に、背後から手を伸ばしてくる。







髪をちょこんと引っ張ってみたり、後ろからほっぺたをつついてきたり。

「早く寝ようよ」

って、あんまりしつこいから仕方なく、灯りを消してベッドに入ったら、

「…お疲れ様」

まるですっぽり覆うようにハグしてきては、耳元で労いの言葉をかけてくる。

なんか変な感じ。

付き合うって、こういう感じなんだ。








「玉は眠い？」

そう聞いたら、

「眠いけど眠くない」

とかいう、わかりづらい返事が返ってきた。

「Aと早く、距離を縮めたいなと思ったから
だからベッドに誘った」

ベッドに誘った？

それはどういう意味で？

なんか、とてつもなく恐ろしいんだけど。







「誤解すんなよ？
別に変な意味で言ってるわけじゃないから
ただこの部屋の狭いベッドで、Aとこうしてる時が一番落ち着くから」

「でも、玉のベッドの方が広くて寝心地はいいよね」

「また泊まりにくれば？」

玉は簡単にそんなことを言うけど、あのマンションに侵入するだけで大変なのに、そんなに気楽には行けないよ。

「この部屋のベッドは落ち着き過ぎて眠くなるから、そういうことをする時は俺の部屋でかな」

そういうこと！？

それを聞いてしまったらもう、気軽に玉の部屋に遊びに行けなくなっちゃったじゃん！！！

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