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玉のため息が聞こえてくる。
それは、呆れたような、途方に暮れたような、それでいて安心したような、そんなため息。
「そんなこと言い出したら、俺も相当怖いんだけど」
「玉の怖いと私の怖いは全然違うよ」
「俺が怖いと思うのは、Aを傷つけたら嫌だなとか
気が利かないから、愛想を尽かされるかもしれないし
嫌われて、もう二度と会えなくなったりするかもしれない
本当はこのまま、友達のままでいた方が楽なんだと思う」
「そう思うなら、友達のままでいようよ」
とうとう私は、正面を見ることも出来なくなって顔を伏せてしまう。
「たぶん玉と付き合ったら私、とんでもないことになるよ
嫌なことも言うだろうし、束縛だってするかもしれない
そういうの、玉は嫌いじゃん」
「うん、嫌かもね」
とか言いながら、玉はくすぐったそうに笑う。
「でも理屈じゃないじゃん
Aとはずっと付き合ってくんだろうなとは思ってたけど、
それって、友達じゃなくてもよくない?って思い始めて、少しずつ頑張ってたんだけど
添い寝とかあっさりさせてくれるくせに、Aは後ずさりしてるし」
…するって、そんなの。
私の知ってるのは幼なじみの生意気で偉そうな玉森裕太だけど、この部屋から一歩出たら彼は、スーパーアイドルの玉森裕太なわけで。
そんな人と付き合ってく自信なんて、私にはない。
「A、さっきから俺、一生懸命口説いてんの、ちゃんと伝わってる?」
そんなことを言いながら、玉の大きな手のひらが私の頭を掴むように乗せられたことで、また私のタガが外れた。
勢いをつけて顔を上げて、じっと玉の顔を見据える。
「だから駄目なんだって、私と付き合ったら
私が恋愛に向いてないの、玉が一番よくわかってんじゃん
私と付き合う人は、みんなダメ人間になってくんだって」
「俺と、Aの元彼とを一緒にする気?」
玉の目の色がサッと変わったのを見て、私はまた視線を落としてしまう。
もう自分でも制御不能なんだって。
「玉のことは好きだけど、付き合うのは嫌だ」
視線を落としたままそう宣言したら、正面から遠慮がちに抱き寄せられた。
腹が立つけど、玉の体温はいつも私にちょうどいい。
「うーん…、じゃあ、少しずつ行っとく?」
「…どういう意味?」
「いきなりじゃなくて、ゆっくり進む感じ」
「ゆっくりって?」
「今夜はキスだけ、みたいな」
「じゃあ次は?」
「次は…、わかんないけど」
わかんないって何!?
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りたわかめ(プロフ) - よーこさん» よーこちゃん…(/ω\)こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします(/ω\) (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 和子さん» そんな風に言っていただいてうれしいです。こちらこそ、ありがとうございました♪ (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - Mayさん» こちらこそ、お付き合いいただいてありがとうございました。これからもゆるゆるな日々が続いていくと思われます♪ (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - lily810さん» こちらこそ、お付き合いいただいてありがとうございました。クリスマスに無事書き終えることが出来て、感無量です(/ω\) (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - chiiiさん» またまたお返事が遅くなりまして、申し訳ないです。何とか完結いたしました。読んでいてもらえたらうれしいなあ♪ (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年9月5日 0時