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夏の終わりのよるたま ページ48

先週の夜、本当に玉は、我が家でシャワーを浴びてそのままコトリと眠りについてしまった。

まるで抱き枕のように、私に背中から抱きついて足までかけてしっかり熟睡モードで。

一体、私達の関係はどんな関係なんだろう。

少し前までは純粋にただの友達関係だったはずなのに。

いつの間にか一緒に寝たり、夜の散歩に連れ出す玉は、一体私のことをどう思ってるんだろうか。

聞きたいけど聞けない。

そういうモードに入ってしまったら、もう私達は今までのような金曜日を過ごせなさそうな気がして。








金曜日の夜、珍しく玉から電話が入った。

「何してんの?」

これは仕事先からじゃないなっていうのは、その口調の緩さでなんとなくわかった。

「家だけど、玉は?」

「俺も家」

そう答えたあと、しばらく沈黙が続く。

家にいるってことは、今夜はここには来れないっていう連絡だな。

もしくは、これからこっちに来いとか。

そんな感じ?








「実は今日さ、事務所の上の人から外周自粛令が出たんだよね」

「外出自粛令?
まさか玉、なんかしたの?」

そう聞き返したら、電話の向こうからいつもの玉の笑い声が聞こえてくる。

「んなわけねーじゃん
なんか今、張られちゃってるみたいなんだよね、俺
マネージャーが気付いて、しばらく行動に気をつけろって」

そういうことか。

たまに忘れちゃうけど、玉は芸能人なんだもんね。

「だから、しばらくは行けないかも」

「…そうなんだ」

そう返した言葉が、思ってる以上に寂しげな声になってしまい、

それを聞いた玉は、また電話の向こうで笑う。

「そんなに寂しい?」

「別に」とか言い返したいけど、何故かうまく声が出せなかった。

「家に来てもらうのもアリなんだけど、多分マンションにも張られてそうだから
しばらくはやめとく」

そう話す玉の声も、心做しか寂しげに聞こえて、きゅうっと胸が苦しくなった。

なんだろう、この感じ。

会いたいのに会えない的な、恋愛小説みたいなシチュエーション。









「じゃあ、先週の金曜日とか、もし張られてたらヤバかったね。
深夜の街を2人でウロウロしてたんだから」

「大丈夫じゃない?
あの時は誰ともすれ違わなかったし」

「もう、あんなことできないね
やっぱり2人で外に出るのとか、危険過ぎるよ」

返事の代わりに、玉の溜息が聞こえてきた。

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りたわかめ(プロフ) - 和子さん» 今夜もなんとか間に合いました。妄想疼いていただいて、ありがとうございますm(__)m (2020年8月14日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
和子(プロフ) - きゃー。妄想止まらない。今夜も来てくれてありがとうございます。 (2020年8月14日 22時) (レス) id: fe8dfc4168 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - りさん» 最近、土日に来ることが多かったですもんねw8月中には復帰したいとは思ってるんですが、頑張ります(/ω\) (2020年8月8日 11時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - Mayさん» 先を全く決めてないので、その日の気分で書いちゃうので、変な展開になったら申し訳ないです(/ω\) (2020年8月8日 11時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 久々に玉ちゃん金曜日にきましたね!!嬉しかったです(^O^)催促ってわけではないのですが、、落花流水と星になんか願わないも本当に好きすぎる作品なのでそちらも更新楽しみにしてます!本当にどの作品にもキュンキュンしてます! (2020年8月8日 3時) (レス) id: 81dcec409d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年3月20日 22時

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