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思わずからかって笑い飛ばしてしまいたくなるのを我慢して、玉が少し開けてくれた隙間に同じように横になってあげる。
窓からは火が付きそうなほどのオレンジの光が差し込んできているのに、部屋の中はキンキンに冷えていて、なんだか不思議な時間。
こんな時間帯に玉がこの部屋にいるってことが、なかなか珍しいのもあるけど。
「贅沢だね」
私がそう言えば、
「何が?」
玉はすぐに聞き返してくる。
「こんな時間に涼しい部屋の中で、ベッドの上にいられるって贅沢過ぎない?」
「そう?」
「なんか、平日の昼間に働ている人を見ながらビール飲んでるみたいな」
玉からはなんの返事もない。
寝息にも似た深い呼吸の音が、微かに聞こえてくるだけ。
部屋の外はきっと、蝉の声だの車の音だのでとてつもなくうるさいはずなのに、この閉め切った部屋は変に静かで、そういうのも贅沢だと思える。
「私が昨日連絡しなかったこと、嫌だった?」
相変わらず玉からは返事はない。
隣にいる玉の横顔をチラ見してみたら、瞼は閉じてるけど、まだ寝てる感じではない。
でも、半分眠っちゃってるんじゃないかな。
だから私は、先週感じた違和感について正直に話してみることにした。
「先週、玉の部屋に行ったじゃん?
なんか変な気分になった。
私の知ってる玉と、あの部屋に住んでる玉は違う人なんじゃないかな、みたいな」
相変わらず玉からは応答がないから、気にせず先を続ける。
どうせ半分夢の中だろうから、聞こえてないと思って。
「昨日、玉から何も連絡がなかったけど、忙しいのかなと思って連絡しなかっただけ
きっと、いつもなら連絡してたよ
『来るのか来ないのか連絡しろ』って
でもなんか…、この間から妙に玉が遠い存在に感じちゃって
私は、この部屋にいる玉のことしか知らないから」
玉はくるりと私に背を向けて寝返りを打つと、
「…俺もこの部屋でのAのことしか知らない
だから合コンとか部屋の外での話を聞くと、なんかモヤモヤするだけ」
そう言うと、本格的に寝息をたて始めた。
そうだね。
私達の世界は、この狭いワンルームの中でだけ。
この狭い世界の中で私達は、いつもギリギリのやり取りを交わしている。
わざと背中から玉の寝顔を覗き込んでみたら、
今まで見た中で一番安心しきっている可愛らしい寝顔だったから、不意に母性本能が疼いた。
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りたわかめ(プロフ) - 和子さん» 今夜もなんとか間に合いました。妄想疼いていただいて、ありがとうございますm(__)m (2020年8月14日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
和子(プロフ) - きゃー。妄想止まらない。今夜も来てくれてありがとうございます。 (2020年8月14日 22時) (レス) id: fe8dfc4168 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - りさん» 最近、土日に来ることが多かったですもんねw8月中には復帰したいとは思ってるんですが、頑張ります(/ω\) (2020年8月8日 11時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - Mayさん» 先を全く決めてないので、その日の気分で書いちゃうので、変な展開になったら申し訳ないです(/ω\) (2020年8月8日 11時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - 久々に玉ちゃん金曜日にきましたね!!嬉しかったです(^O^)催促ってわけではないのですが、、落花流水と星になんか願わないも本当に好きすぎる作品なのでそちらも更新楽しみにしてます!本当にどの作品にもキュンキュンしてます! (2020年8月8日 3時) (レス) id: 81dcec409d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年3月20日 22時