金曜日のよるたま

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『実際、俺のこと断れてないじゃん、Aは
俺みたいな彼氏でもなんでもない男が、週１で家に来るとか、普通気持ち悪いだろ
最初のうちは帰ってほしそうな顔をしてたくせに、居座ったらあっさり受け入れるし』

苦々しい表情でそう言ってきた玉は、しばらくして「しまった」って顔をして顔を伏せた。

何それ、そんな風に思ってたわけ？

確かに初めてこの部屋に来た時の玉は、けっこうグイグイと強引に押してきたよね。

あの頃の私は、やっぱり彼氏じゃない男の人を部屋に上げるのは抵抗があったよ。

でも玉は当然って顔をして居座るし、部屋にいても気まずくもなんないし楽だから、普通に受け入れてただけなのに。

『とにかく、Aは男を見る目がないんだって』

玉はすぐに話題を切り替えて、また説教モードに突入してくる。

延々とその会話を繰り広げた結果、

『合コンはやめとけ
わかった？』

珍しく目力を込めて画面越しに訴えてきた玉は、

『じゃあね』

と、私の返事も聞かないうちに、勝手に電話を切った。

…ほんと、自分勝手なやつ！









そして、今週の金曜日の夜。

仕事終わりの玉は、疲れた声でゲームのオンラインに現れた。

『あれから何か進展あった？』

「何の話？」

『合コン』

昨日も一緒にゲームしてて、何も言ってこなかったくせに、何でいきなりそんな話を持ち出すのかな。

「来月あたりに、みたいなLINEは来てたよ」

正直にそう答えたら、しばらくの沈黙のあと、

『本気で行く気？』

ちょっと不機嫌そうな玉の声が聞こえてくる。

普通なら私も、スルーしていい場面なんだと思う。

玉は私の特別な人ではないわけだし、ただの友達なんだから、私が合コンに行こうが関係ないと思うんだよね。

まあ、確かに元カレの時には、さんざん愚痴を聞かせてしまったけど。

だから、とりあえず、

「大丈夫だよ」

そんな曖昧なワードで濁してみるけど、玉はその話を全然やめてはくれないみたいだ。

『Aは優しけりゃ、誰でもいいわけ？』

「そうじゃないけど
あ、でもこの人となら幸せになれそうって思える人はいるよ」

『誰？
俺の知ってるヤツ？』

「うん、宮田くん」

なのに、玉からの返事が返ってこない。

しばらく沈黙が続いたあと、

『今日、やりたいソフトがあるんだけど』

って、いきなり話を逸らしてくるとか！

私はけっこう本気で言ってるんだけど？

なんだったら、紹介してもらいたいくらいに。

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