ペパーミントブルーソルベ

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サファリパークは盛り上がるよね。

まあ、前列だけが。

先生と瑠宇は大騒ぎしながら楽しんでるわけで。

たまにこちらを振り返って、

「A、見た？すごくない？」

って、見たことないくらいに全開の笑顔で笑いかけてくれるけど。

私は愛想笑いしか返せない。

確かにサファリパークはすごいし、楽しいとは思う。

だけど、こういう場所はデートで来たかったっていうのが本音で。

前列と後列には細くて深い川が流れているかのように、次元が違っていた。








車で回った後は、こんどはウォーキングサファリへ。

ここでも２人はテンション高めに、少し前を歩いていく。

私は心を無にして、後をついて行くだけ。

そのうちゾウのエリアに入り、瑠宇はゾウに釘付けになって、柵の前から動かなくなってしまった。

そんな様子を見て苦笑いでこちらに歩いてくる先生に、私は内心ムカついていた。

大体、このお出かけに何の意味があるわけ？

私がついて来なくてもよかったんじゃない？

今度から瑠宇と２人で行けよ！

そう言ってやろうと先生の方へ向き直ったら、

「なんか幸せ
瑠宇が楽しそうだし、Aも一緒だし」

とか、本当に幸せそうな笑顔を見せるから、何も言えなくなった。






「こういうのってよくない？
なんか久々に有意義な休日を過ごしてるって感じ」

「先生はいつも休日は何してんの？」

「いつもは寝てるか、Aん家に来て瑠宇と遊んでるかじゃない？」

そんな会話をしている途中、通りすがりの人の、

「若いパパとママだね」

なんて声が聞こえてきて、先生はまた苦笑いで私を見てくる。

「瑠宇といると、俺ら親子に見えるみたい」

…そう言われても、なんかやっぱり複雑なんだけど。

別に、私は先生とそういう関係になりたいわけじゃない。








瑠宇は相変わらずゾウに夢中で、ここに留まってもう１０分は軽く経過してると思う。

「A、楽しい？」

不意に先生はそんなことを聞いてきては、私を悩ませる。

「今日はAとデートしようと思って、計画を立ててたんだけど
瑠宇を置いて行くなんてかわいそうだし、だからみんなで楽しく過ごせたらいいなって思って」

…驚いた。

これはデートだったんだ？

だけど、私も同じだ。

瑠宇をほったらかしにしてまで、先生といたいわけじゃない。

だけど…。

このままじゃ、どう考えても私達は２人きりの時間なんて永遠にないんじゃない？

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