ペパーミントブルーソルベ

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そんな私の様子に気付いたのか、何故か先生はキッチンに入ってきては、私の周りをウロチョロし始める。

何も話しかけてこないくせに、やたらと存在感だけをアピールしてきたりと、なかなかの鬱陶しさ。

「…先生、邪魔なんだけど」

あんまりその様子が目にうるさいから、そう言ってるのに、

隣に立ってきては、わざわざ顔を覗き込んでくる。

「A…、怒ってんの？」

って、何故か少し不安げに。

「怒ってない」

なるべく自然にそう返したはずだったのに、

「やっぱ怒ってんじゃん」

すぐに見抜かれてしまった。

「何が気に入らないのか、言ってみたら？」

その教師ぶった偉そうな言い方も気に入らない。

とにかく今の私は、全てが気に入らないんだ。








「何作ってんの？」

まるで機嫌でもとるかのように、私の隣に居座っては、

「手伝おっか？」

とか言ってくるけど、それを私はずっと無視していた。

このイライラの理由は、きちんと自分でもわかってる。

私は嫉妬してるわけよ、長谷川先生に。

何でこう、二階堂先生は長谷川先生の言いなりになってるわけ？みたいな。

そして私の怒ってる理由に、先生が全く気付いていないということにも、腹が立つ。









それでもしっかり夕食まで食べた先生は、帰り際に、

「A、途中まで送ってってよ」

とか、屈託のない微笑みを私に見せつけてくる。

いいよ、受けて立つ！

今日こそは、白黒つけてやる。

中途半端な同情で私達に近付くなって、きっちり宣言してやるから。







いつものように並んでブランコに乗った途端、

「今日は機嫌が悪かったね」

とか、速攻でぶっ込んでくる先生は、何故か機嫌よさそうに微笑んでいた。

「先生は機嫌がよさそうだね」

「だって今日、楽しかったから」

…だから、何でそんなにあどけなく笑いかけられるわけ？

「瑠宇と一緒に遊べたし、Aの美味しいカレーも食べられたしね」

そんな先生の言葉にも、私は無言のまま。

視線を地面に落とし気味に、ゆらゆらとブランコを揺らしているだけ。








「Aの怒ってる理由って、俺が長谷川先生の言う通りに動いたから？」

不意に投げつけられたその質問には、さすがに私も顔を上げるしかなかった。

驚いた。

ちゃんとわかってたんじゃん！

「それで怒るってことは、もしかしてA、俺のこと好きなの？」

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