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8月に入ったある日、姉からメールが届いた。
『もう帰りません
瑠宇を頼みます』
それだけしか書かれてないそのメールのアドレスはフリーメールで、何度も返信してみたけど、その日のうちに宛先不明で送信できなくなった。
これは…、もう帰ってこないってことか。
ということは私が、瑠宇が成人するまで責任を持って育てなければならないということで。
真夏なのに身震いがした。
だけど、この家の家長は私なんだから、私が何とかしないと!
瑠宇が寝付いてから、玲に、
「ちょっとコンビニに行ってくる」
とだけ告げて、外に出た。
だけど本当は行先はコンビニじゃなくて、駅裏の夜の街。
あのメールが来てから私は、ずっとスマホで高額バイトを探していた。
保育士の仕事は激務で、しかも副職なんて当然禁止だけど。
そんなこと言ってる場合じゃない。
今はとにかくお金が必要なんだ。
来年は玲も大学に進学するし、この先、瑠宇にもお金がかかる。
駅裏の居酒屋の立ち並ぶ賑やかな通りを抜けると、その先は少しずつ妖しい通りになっていく。
目指すのは、この妖しい通りにあるガールズバー。
昼間でも滅多に通らない道だから、居酒屋街に入りかけただけで心臓がドキドキとうるさい。
だって面接に来るだけで5000円もくれるんだよ?
しかも時給2500円とか!
とうとう居酒屋街を抜けて、怪しい通りに入りかけた時、
「A!」
いきなり名前を呼ばれて、後ろから手首を掴まれた。
その声だけでわかる。
二階堂先生だ。
先生は私の前に回り込むと、
「こんな時間に何してるわけ?
瑠宇は?」
と、怖い顔をして詰め寄ってくる。
急に足がガクガクと震えだすけど、先生は手首を離してくれない。
「瑠宇は?」
もう一度、厳しい声でそう聞かれて、私はようやく口を開いた。
「…もう寝てる」
「まさか、1人にしてんの?」
「玲がいるから」
「てか、どこに行くわけ?これから」
「…友達のところ」
先生の目が見られない。
きっと今、先生は最大級に怒ってるんだろうな。
瑠宇の保護者のくせに、こんな夜の街をウロついてるわけだから。
「この先は、若い女の子が行くような場所はないけど?」
「先生こそ、何でここにいるわけ?」
「俺はあそこの居酒屋で、さっきまで友達と飲んでたんだけど
帰ろうとしてたら、Aが見えたから」
どうしよう…。
約束の時間が近付いてきてる。
どうやってこの場を切り抜けたらいいんだろう。
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りたわかめ(プロフ) - yunikoさん» いやいや、実は私も内容かなり忘れてましてwwもう何ヶ月も更新してなくて忘れてても当たり前ですよねー。これからもよろしくです (2020年9月16日 15時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
yuniko(プロフ) - まってましたぁ〜!内容ちょっと忘れてて←あれっ私たち付き合ったっけ?泣)てなって見返したw はぁ、今日もキュンをありがとう!続き楽しみにしております、、(;▽;) (2020年9月15日 23時) (レス) id: 69d8cccbd8 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - めろんさん» びっくりしましたよ!本当に本当に。これからは作者同士の付き合いでどうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2020年4月24日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ここんとこニカさんの話を全く書いてなかったので、探り探りって感じなんですよー(/ω\) (2020年4月24日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - この度は、ヒクシ先生(違)二階堂先生のお話をありがとうございます♪勇気を出してコメントしてみました(笑)わかるかな?ww 続きも楽しみにしてます! (2020年4月16日 14時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年3月14日 0時