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「相手はアイドルのFくんって本当?」

「本当」

ああ…、もう、どうしたらいいんだろう。

やっぱり本当の話だったんだ。

「…今でも、会ったりする?」

「全然
もう連絡もないよ
あいつも、俺のアドレスとか削除しちゃってんじゃない?」

「宏光は?
彼のアドレス、残してる?」

その質問に、ほんの僅かだけど彼の黒目が揺れたのを、私は見逃さなかった。

残してるんだ。

てか、未練があるってことなんじゃないの?それは。

「残ってるかもしんないけど、別に意味はないっていうか…」

そう言いながら、彼は自分のスマホを開き始める。

連絡先のページをスクロールしながら、

「あった」

そう言って、Fくんの連絡先を見せてくれた彼は、

私の目の前で、そのアドレスをあっさりと削除してみせた。








「これで安心できた?」

彼はそんなことを言いながら頭を撫でてくるけど、私の本当の心配はそこじゃない。

だから、これも伝えておかなければならないわけで。

「それと、最近、宏光が子どもを欲しがってたって聞いた」

「欲しかったよ
前にも言ったけど俺、子どもは持てないかもって言われてたから」

「だから、代理出産か養子とかを考えたってわけ?」

さすがにその言葉を口にした途端、彼の顔つきが変わった。

目の色が変わるという言葉が、まさにしっくりくるような、そんな感じに。

「どういうこと?」

まるで怒ってるような口調で、答えを求めてくる。

「怒らないで聞いて
あの店員さんは、宏光が私を利用してるんじゃないかって心配してた
子どもが産まれたらすぐに離婚して、子どもだけを奪い取るんじゃないかって」

そう言い終えた途端に、彼は静かに私の手を取った。

けっこう強めに握られたその手から伝わってくるのは、彼の怒りと体温の熱さ。

その怒りを秘めた視線から逃れるように、目を伏せた。

「Aは、それを信じたわけ?」

その質問には、すぐには答えられない。

でも、その話を聞いている途中、どこか納得してしまう部分があったのは否めない。

「まだ数回しか会ったことのないヤツと俺のこと、どっちを信じるわけ?」








やっぱり答えられない私の手のひらをそっと離して、彼はソファーから立ち上がる。

「…ちょっと出てくる」

そう言い残して彼は、携帯だけを掴んで本当に外へ出て行ってしまった。

…これは、どう捉えたらいいんだろう。

だって彼はこの話について、一切の否定はしなかったよね?

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りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして!オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています!! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω\)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月15日 12時

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