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その週末の夕方、珍しく体調のよかった私は彼とスーパーへ買い物に出かけて、

2人でカートを押しながら店の中を歩いてたら、向こうから見たことのある顔を見つけた。

それは、ひとつ後輩の高橋くん。

向こうも私に気付いたみたいで大きく手を振ってたけど、隣に立つ宏光を見て、明らかに動揺した様子を見せて、

そのまま、スッと逃げるようにその場からいなくなってしまった。

「今の、友達?」

逆に私が聞きたいんだけど。

明らかにあなたを見て、逃げてっちゃったんですけど?








翌週、出社したばかりの私を、高橋くんはわざわざ会議室へと連れ出込んだ

「高橋くん、昨日、スーパーで会ったよね?」

そう言ってるのに、高橋くんは焦った表情で私の手首を掴む。

「まさか、昨日の人がAさんの旦那さんですか?」

「そうだけど」

「もしかして…、ミツとか呼ばれてます?旦那さん」

「みたいだね
宏光だから、ヒロとかミツとか呼ばれてたみたいよ」

「やっぱり…」

ようやく手首を離してくれた高橋くんは、わざとらしいくらいに深い深い溜息をついてみせた。

「Aさん、あの人…、ゲイですよ」







高橋くんは、死にそうなくらいに真剣な目をして訴えかけてくる。

「もしかしてAさん、偽装結婚とか?」

「違うって!
まあ、できちゃった婚ではあるけど。」

「あの人、かなり有名なんですよ
あの人と寝たら、もう他の人とは寝れないって
伝説みたいな存在なんですよ、あの人」

「高橋くん…、やけに詳しいね」

そう言ったら、高橋くんはまた溜息と共にうなだれてしまった。

「Aさんも薄々、気付いてたんじゃないですか?」

「…え、何に?」

「俺、ゲイなんですけど」

「そうなんだ?」

「…あんま驚かない感じですか?」

「驚かないっていうか…」

だって、旦那はバイなわけだし。

今更ゲイだとかカミングアウトされても、動揺すらしないし。








「だから、宏光のこと知ってるんだ?」

「知ってるも何も…、とにかくすごい人なんですよ、あの人」

「もしかして…、高橋くん、宏光と寝た?」

恐る恐るそう聞いたら、

「まさか!
ミツは誰彼構わず、誰とでもって人じゃないんで
俺なんか、引っ掛かりもしないっていうか…」

思いっきり否定されて、ホッとはしたものの、かなり複雑な気分である。

だって後輩と兄弟とか姉妹だなんて、厳しすぎるでしょ?

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りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして!オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています!! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω\)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月15日 12時

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