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新居に引っ越して初めての夜。

寝室は2階の彼の部屋だった場所に決めた。

子どもが産まれた後のことも想定して、キングサイズのベッドを買ってはみたものの。

元々大きくない部屋だから、もう部屋の中が全部ベッドのような状態になってしまった。

そんな寝室の大きなベッドの真ん中で、私達は肩をくっつけるようにして横たわっていた。

「ぎゅー、ってする?」

まるでからかうように、彼はそんなことを聞いてくる。

そんなこと、いちいち聞かなくていいよ。

「…したくないならいいよ」

天邪鬼なことを言ってしまう私に、彼はやんわりと腕を伸ばしてくる。

「妊娠してるから、そっとね」

ちゃんと覚えててくれたんだ。

私が出した、理想の結婚生活の話。








実は今日、転居届のついでに婚姻届けも提出してきた。

実家の両親への挨拶は、うちの親はこっちに来てくれることになったけど、彼の両親とは会わなくていいということで。

「だって、付き合いないし」

彼はそう言うけど、本当に大丈夫なのかな。

そして、婚姻届けを出したということは、今夜が初夜なわけで。

彼は私の背中を撫でながら、こんなことを言い出した。

「安定期までは我慢しとく」

って、含み笑いで。

だけど私には、やっぱり不安が残るわけで。

「我慢できんの?それ」

「大丈夫じゃない?」

「今まで、いろんな人と寝てたくせに?」

「Aが思ってるほど乱れてないから、俺」

だから、笑いながら言わないでよ。

「最近したのは、Aが最後かな」

「インドに行ってたじゃん」

「してないって
海外はさすがに怖いしね」

いやいや、そんなにサラリと言わないでよ。

まあ、インドでもとっかえひっかえされてたら、私も困るんだけど。








まだカーテンのついていない窓から、ぼんやりと満月が見える。

道理で今夜は明るいと思った。

目の前にあった、彼の鎖骨に唇を寄せる。

彼はくすぐったそうに鼻で笑うと、そんな私の髪を弄ぶように撫で始めた。

「北山?」

「…何?」

「私達、大丈夫かな」

「何が?」

「結婚生活
うまくやっていけると思う?」

「どうだろ…」

急にそんな意地悪なことを呟いた彼は、

「Aが俺のことを北山って呼ばなければ、うまくいくんじゃない?」

そんなことを言いながら、彼は私の髪をぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。

「もういい加減、下の名前で呼べば?
Aも今日から北山なんだから」

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りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして!オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています!! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω\)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月15日 12時

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