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だけど彼は即答する。

「好きだよ」

至って、軽い感じで。

「好きなわけないじゃん」

「何でそう思うわけ?」

「北山といて、好かれてるって感じたことない」

「ふーん
あんなにベッドの中で尽くしてるのに?」

それには、何も答えないでおく。








「例えば、お見合い結婚ってあるじゃん?
ああいうのって、最初から好き合ってるわけじゃなくて、結婚してからだんだんと好きになって、家族になっていくもんだと思うんだけど
そういうもんなんじゃないの?結婚って」

彼はもっともらしいことを論じてくるけど、私はそれを叩き斬ってやる。

「そういうことを言うってことは、北山は私のことを好きじゃないってことだよね?」

「だから好きだって言ってんじゃん」

…って、ヘラヘラするな。

至近距離で見つめ合ってるのに、ちっとも私達はロマンチックじゃない。

むしろ私は、果し合いみたいな気持ちで彼を睨みつけていた。

「好きだって」

「だから軽いんだって」

「好きに軽いも重いもある?
俺、恋愛感情がないと2度目はないんだけど」

「何?2度目って」

「1度寝て終わりの人が多いってこと
俺的に、2度目に繋がる人はなかなかいないから
少なくとも、ここ1年くらいはいなかったかも」

それって、喜んでいいのかな。

ほとんどがワンナイトラブで、しかも彼のことだから夥しい数の人とそういう夜を過ごしてきたんだろうし。

そういう感性の人と結婚だなんて、大丈夫なんだろうか。








「じゃあAは?
俺のことどう思ってるわけ?」

その不敵な笑みは、当然俺のことが好きだろうと思い込んでる感じなんだろうけど。

…正直、よくわからない。

好きなのか、そうじゃないのか。

だから、正直に告げてみた。

「よくわからない」

だけど彼は怯まない。

表情を変えないままでこう言うんだ。

「大丈夫
俺は、ちゃんとAが好きだから」







何が可笑しいのか、くすくすと笑いながら。

「好きじゃなきゃ、ここに帰ってきたりしないって」

彼はここに帰ってきたつもりでいたんだ?

本当に本気?

彼の目の奥をじっと覗き込む。

全く揺るぐことのない彼の黒目を確認して、少しだけ気持ちが落ち着いてきた。

「焦ることないって
ゆっくり家族になればいいじゃん」

そんなことを言われながら、ゆるゆると背中を撫でられて、

私は安堵にも似た、諦めの溜息をついた。

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りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして!オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています!! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω\)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月15日 12時

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