15 ページ15
あれから私達は、こんな夜を幾つか過ごしていた。
私が店に行かない日でも、週末なんかはふらりと突然部屋に訪れたり、私達の関係は良好だったと思える。
但し、恋愛関係はないけど。
まるで足りないものをお互い補ってるみたいな、不思議な関係。
そんな日々が3カ月ほど過ぎた頃、ふと彼は部屋に来なくなった。
私も店に行けばよかったんだけど、仕事の繁忙期と重なって残業続きで、そのままその問題を放置してしまっていた。
気付いた時にはもう、彼と連絡が取れなくなってしまっていて、
LINEも未読状態だし、電話をかけても「電源が入っていません」と乾いたアナウンスが流れるのみ。
まあ…、ある程度は覚悟してた。
ああいうタイプの人は、1人の人では我慢できないだろうし、飽きるのも早そうだし。
だけど…、のっぴきならない事実が判明したのである。
健康診断の結果が出て、会社の医務室にこっそり呼び出された私は、専属の看護師さんからまさかの妊娠宣告を受けてしまったわけで。
…待って。
妊娠しないんじゃなかったっけ?
小さい頃に病気になって、それでって…、いや待って、それって真実?
調子いいこと言って、中で出したかっただけなんじゃないの?
まだ現実が受け止められなくて、ふわふわした気持ちのまま、会社帰りに久々に彼がいるはずのバーへ寄ってみた。
だけど、店のドアには、
『長年のご愛顧ありがとうございました』
と書かれた閉店のお知らせの紙が貼ってあり。
私は、脱力してその場に座り込んでしまうしかなかった。
…詰んだ。
なんとか持ち直して、ゆっくりと牛歩のごとく帰宅している途中、
「Aちゃん?」
不意に向かいから歩いて来た人から声を掛けられた。
「マスター!」
…神様はまだ、私のことを見放してはいなかった。
きっとマスターなら、彼の居所を知ってるはず!
「ごめんね、Aちゃん
先週、店を閉めちゃったんだ
Aちゃんにもきちんと挨拶をしたかったんだけど、会えてよかった」
そう言ってくれるマスターの言葉を遮るようにして、
「マスター、北山の連絡先、わかりませんか!?」
早口でまくしたててしまった。
「宏光は今、インドだかどこかに行ってるはずだけど」
…インド!?
よりによって、何でそんな場所に?
「うちの店がこんなことになっちゃったから、次の店を斡旋しようと思ってたんだけど、「インドに行くから」って」
1857人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして!オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています!! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω\)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月15日 12時