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バイ…。
バイって何だっけ?
ああ、男も女も両方いける人か。
目の前にある彼の顔をじっと見つめてみる。
こんなに私が見つめてるのに目を逸らしてこないあたり、彼は随分自分に自信がある人なんだろう。
じっと私を見返してくるその目は挑戦的にも思えて、過去にかなりの経験値を積んでいるんだろうなっていうのは、すぐにわかった。
「家どこ?送るわ」
「いいよ…、1人で帰れる」
「今日は歩いて帰れないと思うけど」
「何で?」
「だって、いつもより度数の強いのを飲ませたから」
「それって何で?」
「さあ、何でだろうね」
意味ありげに口元だけで微笑んだ彼は、私に右手を差し出す。
カクテルの度数が高いっていうのは、自分でも気付いてた。
気付いてて飲んでたんだから、私も同罪だ。
大通りを出て、私のマンションまで。
いつの間にか小雨がチラついていて、ゆらゆらとおぼつかない足取りの私を見て、彼は自然に手を繋いでくる。
その手はまるで、子供みたいに熱くて、繋いでるだけで安心できた。
家まで普通なら歩いて5分ほどの距離なのに、今夜は10分以上かけて帰る。
しかも手を繋いで、無言のままで。
この空気感が好き。
初めての人と初めての夜を過ごす予感のする、
この変な緊張感と倦怠感、そして僅かな期待感を含んだ時間が。
マンションに着いても、彼はあっさりと中に入ってきた。
まるで自分の家かのように、慣れた感じでエレベーターに乗り込む。
「…何階?」
聞き取れないくらいの低音でそう訊かれて、
「3階」
正直にそう答えてしまった。
なんだか、もう部屋に来るのが決定事項みたいじゃん。
普段ならこんな時、牽制したり、あからさまに拒否ったりするのに、何故か今夜はそんな気分にはなれなかった。
もうどうなってもいいや、みたいな。
それより、隣にいるこの生意気な男が、ベッドに入るとどんな風になっちゃうんだろうって、そっちの方の興味もあったかもしれない。
やっぱり彼は、何の抵抗もなく部屋に入ってくる。
「へえ…、ロフトなんだ」
ぼそっとそう呟くと、エアコンのリモコンを入れながら、上着を脱いだ。
なんて艶っぽい動きをする人なんだろう。
たかが上着を脱いだだけなのに。
所在なく立ち尽くしてる私に、
「あんたも上着脱げば?」
そう言って、慣れた様子で上着に手をかけた。
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りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして!オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています!! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω\)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月15日 12時