13 ページ13
私に断れる勇気なんかなかった。
だって今夜は不完全燃焼だったし、もっと話も聞いてほしかったし、それにあわよくばって考えがなかったわけではない。
それは認める。
帰り道、彼はやけに饒舌で、
「元彼からのLINE読んだけど、ヤバくない?あれ」
とか、勝手にブロックした元彼のLINEの話題を持ち出してくる。
「ちょっとかわいそうになったけどね、俺は」
「どこがかわいそうなわけ?
浮気して私をふっておきながら、別れたから戻るって、身勝手すぎない?」
「ちゃんと読んだ?
新しい彼女、本当は妊娠してなかったって
騙されたんじゃん?元彼」
え?そんなこと書いてたっけ。
後半に来てたメッセージは、ろくに読まずに既読だけつけてたから、読んでなかったのかも。
「だとしても、もう私には関係ない」
そんな話がしたいわけじゃないのに。
もう元彼のことなんか最初から頭にはなくて、それより、さりげなく繋がれていた手の感触ばかりが気になって仕方なかった。
その夜も部屋に入ってからはもう、お互い無言になる。
ドアを閉じた途端に、サーモンピンクと濃いラベンダーの色を雑に混ぜたような空気が漂いはじめ、どちらともなく唇を重ねる。
不思議だ。
私は別に、この人が好きなわけじゃないのに。
むしろ、彼が私にもたらしてくれる行為が好きなだけ。
彼は私のことをどんな風に思ってるんだろう。
都合のいい相手?
ちょうどいい感じに弱ってるし、欲しがってるし、みたいな。
「上、行く?」
余韻たっぷりに唇を外した彼は、ロフトにチラリと視線を向ける。
その仕草はもう、計算され尽くされてるんじゃないかと思われるほど妖艶で。
ああ…、やっぱりこの人は、私が関わってはいけない人だった。
彼と過ごす時間は、全てが官能的で。
恋人同士で過ごす甘ったるい時間とは少し違う。
あらゆる慾を優先させるこの時間は、もっと動物的というか、本能的というか。
とにかく、簡単に現実世界からトリップ出来てしまう時間。
いつも私が普通に寝てるロフトの上で行われてるという罪悪感も手伝って、私はますます彼の身体の虜になっていく。
出会わなきゃよかった。
出会わなければ、こんな感覚、知らずにすんだのに。
もう、手放したくなくなるじゃん。
1857人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りたわかめ(プロフ) - 牡丹さん» ありがとうございます。更新遅めですが、また読んでやってください♪ (2021年3月8日 16時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - はじめまして!オススメのところから辿り着き、一気に読ませていただきました(☆∀☆)スピンオフも楽しみにしています!! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 1a54c4e0e3 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 汐里さん» 終わってしまいましたー♪続編も書きたいところなんですが、外伝書きたくなってきて、今ウズウズしてますw (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 終わっちゃいましたよー(/ω\)でも外伝書きたくてウズウズしてますがwww (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます。けっこう長い時間がかかってしまいましたが、最後まで読んでいただけてありがとうございます♪ (2021年1月12日 20時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月15日 12時