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車は彼のマンションの地下駐車場に付けられて、私から先に時間差でマンションに入った。

部屋に戻った途端、安堵の溜息が漏れる。

わかってたけどさ、彼と付き合うということはこういうことだって。

しばらくして、彼も部屋に戻ってきた。

「お疲れ」

とか言いながら、玄関先で緩くハグしてから、

「二度寝する?なんか疲れたわ」

とか言いながら、勝手に寝室に入って行く。

本当に疲れたよね。

楽しい旅行だったけど、大勢でいたせいで気疲れもあったり。

それに毎晩、いろいろあり過ぎて寝不足が続いてた。








もう先にベッドに横になってた彼の隣に、ぐったりと横たわったら、急に眠気が襲ってきた。

きっとそれは、彼の匂いに包まれてしまったせいだと思う。

疲れてる時の彼の香りには、催眠作用があるから。

「眠い…」

そう告げたら隣から、

「俺も」

という返事と、くすくすと微かな笑い声も聞こえてきて、一気に身体が怠くなってきた。

北山くんの笑い声はいつも、私の緊張をほぐしてくれる。

要するに、彼の笑い声を聞いているだけで、私は心の底から安心できるんだ。

彼が笑ってくれていることが、私の生きる意義になってるみたいな。

そんな勝手な思い込みで。

「疲れた?」

耳元に微かに響く、彼の甘ったるい鼻にかかった声も、聴いているだけで安心できる。









「今日は寝て過ごす?」

「いいの?」

「いいよ
俺も疲れてるし、今日はゆっくりしよ」

そう言って彼は、ベッドの中で大きく伸びをして、そのまま私の首元にまた腕を差し込んできた。

首元に伝わる彼の熱めの体温は、いつも私をドキドキさせるけど、今は眠気を誘うだけ。

いつもならいきなり寝てしまうのに、今日は何故か、彼は半身をこちらに向けてじっとこちらを見つめてくる。

「…寝ないの?」

だっていつもは、私のことを置いてコトリと寝ちゃうくせに。

なのに、

「ベッドに入ったら眠くなくなってきた」

とか言わないでよ。

もう瞼がくっつきそうな私の顔をずっと見つめてる彼は、武骨な指で私の前髪を弄りはじめた。









私はとうとう瞼が閉じてしまってるのに、彼は平気で話しかけてくる。

「俺の服、着たまま寝るんだ?」

「…着替えた方がいい?」

「そうじゃなくて…、なんか新鮮でいいなと思って」

また彼は耳元で軽く笑う。

「自分の服を着ている彼女の、その服を脱がすのって最高にドキドキしない?」

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りたわかめ(プロフ) - chiiiさん» お返事が遅くなり申し訳ございません。また続けて書いて行きたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m (2021年12月27日 1時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
chiii(プロフ) - これからのお話が楽しみです! (2021年6月20日 14時) (レス) id: 3eedbd4ab6 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - 和子さん» こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます。 (2021年6月8日 10時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» 実は地味に更新してるんですよw不穏な流れになってるかもです<(_ _)> (2021年6月8日 10時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
和子(プロフ) - 更新ありがとうございます。待ってました! (2021年6月1日 0時) (レス) id: f18c01eb01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年9月6日 19時

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