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気温が下がるのに比例して、彼の仕事はどんどん忙しくなっていく。
11月から年末は毎年、極端に忙しくなるらしい。
毎日、LINEや電話はしてるけど、全然会えていない状況。
あの怒涛の3連泊から、私達は一度も会えてなかった。
もう2週間だよ？ありえないって。
ということは、私達の進展も全くないわけで。
別に進展したいわけじゃないけど、それはそれで寂しい。
「Aが来てよ、俺の部屋に」
そんなことを言ってくるけど、彼が何時に帰ってくるのかもわからない状態で、そんな冒険ができるわけがなく。
じわじわと時間は過ぎていき。
電話の向こうの彼の声も、日を追うごとに疲れが混じっていく。
とうとう我慢が出来なくなった私は、実力行使に出ることにした。
その日の夜もLINEで、
「今日も仕事が何時に終わるかわかんないから、電話できないかも」
みたいな、切ないメッセージが届いてたから。
私はキーケースの中の、一本の鍵をじっと見つめていた。
とうとう、この鍵を使う日が来たか。
だって今日は金曜日の夜。
たった10分でもいい、彼の顔を見ることができたら。
そう思って、自転車で夜の街に繰り出した。
自転車なら直線距離で15分もあれば、彼の住むマンションに着けるはず。
自転車を漕ぎながら思うのは、
仕事が遅いとか言いながら、本当は知らない女の子と部屋に籠もってたらどうしようとか、そんなネガティブ妄想ばかり。
頬が凍るような真冬の深夜、私の漕ぐ自転車は予想以上に早くに彼のマンションに到着してしまった。
時刻は今、深夜０時を過ぎたところ。
彼から着信がないということは、今夜も仕事が遅いんだろう。
取り出した鍵でオートロックを開けて、無駄に心臓を高鳴らせながら早足でエレベーターに乗り込んだ。
彼の部屋の前にたどりついて、深呼吸。
ベルも鳴らさずに、合鍵を使って部屋に入る。
ドアを開けたら、そこには真っ暗な空間が広がっていて、
ドアを閉めたら、静寂と、彼の香りが夥しい数の素粒子となって私に降りかかってきた。
…なんだろう、この幸せな空間は。
明かりを付けたらバレてしまう。
スマホのライトを頼りに、彼のベッドルームにたどり着く。
ベッドに潜って、彼の帰りを待ってあげる。
彼は驚いてくれるだろうか。
深夜１時を回った頃、ドアに鍵が差し込まれる音がした。
玄関から足音が近づいてくる。
そして、彼の香りがどんどん濃くなっていくのを感じた。
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りたわかめ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます、多分、3ヶ月ぶりくらいに更新した気がします・・・。夏の間は死んでました(T^T) (2020年9月6日 21時) (
レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» 本日、移行しました！読んで頂けたら嬉しいです(/ω＼*) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - わかめさん、更新ありがとうございました。めちゃくちゃドキドキです。 (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 久々の更新楽しみにしてました！！楽しく読ませていただいてます(*´ω｀*) (2020年9月1日 22時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» わざわざ聞かせてみましたwwwいこう！ってwwww (2020年9月1日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りたわかめ
| 作成日時：2020年2月7日 22時
