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部屋に入れるべきか悩んだけど、結局は入れることにした。

この間は入れたのに、今日は入れないっていう言い訳をするのが面倒なのもあって。

それに、もう少ししたら北山くんもやって来るだろうし。

先生は昨日と同じ位置に座ると、お茶を出そうとした私を、

「すぐ帰るから」

と、手で制した。







「どういうことか教えてくれる?」

「…昨日のこと?」

「何で北山宏光がここにいたわけ?」

「友達だったから」

「だったって、過去形?」

「昨日から、付き合い始めた」

どうせ北山くんが来たらバレちゃうことだから、もう先に話しておく。

そして先生は、呆れたように溜息をついた。

「もしかして、俺がきっかけを作っちゃった?」








「あの人、Aが自分のファンだったってこと知らなかったんだろ」

「言ってなかった
だって、まさかこんなに親しくなるとは思ってなかったから」

「ずっと隠してたってこと?
まさか今も隠してんの?」

「昨日、全部打ち明けた」

「怒られた?」

「…怒られなかった」

むしろ、喜んでたけどね。

でもそれは、今は言わないでおく。







「まあ…、俺とAはもうとっくに別れてるから、今更どうこう言える立場じゃないけど」

先生はそう前置きしてから、

「大丈夫なの?
芸能人と付き合うとか
生活も遊びも派手だろうし、パパラッチに狙われたりとか、大変だと思うけど」

心配そうにそう訊ねてきた。

「…わかんないけど、ちゃんと覚悟はできてるから」

「何の?」

「最初は、自分が傷つきたくないから、あまり北山くんに深入りしないようにしようって思ってたけど
今はもう傷つくのも覚悟してるし、そのうち飽きられてフラれてしまうかもしれないってことも、全部覚悟してる」

そんな私の言葉に、先生は溜息で返してくる。

「昨日は…、前にAが断って来た研究所の話を、もう一度勧めたくて来たってのもあるし
あわよくば、元に戻れないかなって思ってた」

…なんとなく、それは想像がついてた。

でもやっぱり私は、北山宏光のいるこの東京から離れたいとは思わない。

一生、彼と一緒にいられるなんて思ってないけど、

今の、この宝石のようにキラキラした日々を失いたくないんだ。

たぶん今が、人生で一番幸せな時間だと思うから。

私は北山くんを失くしても、この思い出だけで一生、1人で生きていけそうな気がするから。

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りたわかめ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます、多分、3ヶ月ぶりくらいに更新した気がします・・・。夏の間は死んでました(T^T) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» 本日、移行しました!読んで頂けたら嬉しいです(/ω\*) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - わかめさん、更新ありがとうございました。めちゃくちゃドキドキです。 (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 久々の更新楽しみにしてました!!楽しく読ませていただいてます(*´ω`*) (2020年9月1日 22時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» わざわざ聞かせてみましたwwwいこう!ってwwww (2020年9月1日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月7日 22時

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