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好きに触る…。
付き合うということは、そういう行為も許されるってことなんだ?
ということは、私が北山くんの体に好き放題触ってもいいってこと!?
だから私も、彼の方へ向き直る。
「じゃあ、私も自由に触ってもいいんだよね?」
暗がりの中、彼は驚いたように目を丸くしていたけど。
遠慮なしにその頬に両手を添えた。
暗くてよく見えないから、手のひらや指で確かめるように顔に触れていく。
そのぷっくりとした肉厚の唇とか、丸みを帯びた瞼、すべすべのおでこ。
仕上げにその綺麗な輪郭を指でなぞっていたら、その手を掴まれてしまった。
「…何してんの、さっきから」
「だって付き合うってことは、自由に体に触れていいってことでしょ?」
「いいけど…、なんか一方的に触られてばっかなのは納得いかないんだけど」
そんな不平を漏らす唇を塞ぐみたいに唇を押し当てたら、途端に押し寄せてくる甘い感覚。
その感覚はじわじわと全身に広がり、どんどん満たされていく。
なのに、いつの間にかキスのリードが彼に奪われてしまっていたのが悔しくて、逆に私の方から押し倒してみた。
驚いたように目を丸くする北山宏光を、真上から眺められる日が来るなんて。
ガチヲタ時代の私からしてみれば、妄想するのもおこがましいくらいで。
「好き」
そう言葉にしたら、彼の体は柔らかく緩む。
「うん」
満足げにそう答えた彼の声は、甘い含みも混じっていて、
「女の子に押し倒されたのなんか、初めてだわ」
とか言いながら、諦めたみたいに深く息を吐いた。
北山宏光の尊い人生の中の「初めて」を、私はひとつ手に入れた。
ただ「押し倒した」というだけのことなんだけど。
この世界中で、北山宏光を押し倒したいと願ってる人はどれくらいいるんだろう。
それを思ったら申し訳なくて、でも彼の体の上からは降りたくなかった。
だって勿体ないじゃん!!!
あの北山宏光が私の下にいて、しかも熱を帯びたような切ない目をして、私を見つめていて。
「もう…、好きにしていいよ」
とか言ってくるあたりで、もう私の理性は限界を超えた。
両手を広げて諦めたように瞼を閉じた彼を、真上からじっくり観察する。
写真に残しておきたいくらいに幻惑的な光景。
もうずっと、死にたくなるくらいに大好きだった北山宏光に、
「好きにして」なんて言われてるありえないシチュエーションが、いま目の前で展開されているという奇跡!
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りたわかめ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます、多分、3ヶ月ぶりくらいに更新した気がします・・・。夏の間は死んでました(T^T) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» 本日、移行しました!読んで頂けたら嬉しいです(/ω\*) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - わかめさん、更新ありがとうございました。めちゃくちゃドキドキです。 (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 久々の更新楽しみにしてました!!楽しく読ませていただいてます(*´ω`*) (2020年9月1日 22時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» わざわざ聞かせてみましたwwwいこう!ってwwww (2020年9月1日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月7日 22時