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仕事も冬休みに入ったその日の夜、私はまた彼の部屋を訪れていた。

もちろん彼は仕事で、何時に帰ってくるのかも不明だけど。

今夜ももちろん、私がこの部屋に来てることは告げてない。

大晦日までの数日はこの部屋にいて、大晦日は霞さんの家、そして元旦の夜は…、とうとう初めての旅行なわけで。

…まあ、2人きりの旅行じゃないけど。








深夜0時前、彼からLINEが入る。

『明日からだっけ?休み』

きっと彼は明日から私が来ると思ってるんだろうな。

だから、

『そうだよ』

素知らぬ感じで返信する。

『明日は何時頃に来る?
まあ、明日も仕事で一日中いないんだけど』

そんなメッセージが届いたあと、

『ごめん、仕事してくる』

って、勝手に会話は中断されてしまった。

きっと今夜も遅いんだろうな。

起きて待ってるのは彼の負担になるだろうし、今夜は先に寝ちゃおう。







だけど…、寝られるわけがない!

こんな、彼の香りがぷんぷんと立ち込めている寝室で、正常な精神で眠りに就けるわけもなく。

何度も何度も寝返りを打つけど、その度に彼の香りが濃くなっていくような気がして、ますます目が冴えていく。

ベッドに入って2時間ほど経った頃、ガチャリと玄関の方角から鍵が開く音が聞こえてきた。

…帰ってきた!

今夜、彼は私がここにいることを知らない。

靴も痕跡も隠した。

今夜も彼は、私の香りを辿って、この寝室までやってきてくれるだろうか。

カチャリと、寝室のドアが遠慮がちに開く。

「…やっぱり、いた」

なんて声を出すんだろう、この人は。

自覚があるんだろうか。

本当にうれしそうな、それでいて満ち足りた声で、彼は私の名前を呼ぶ。

「起きてんだろ、A」

お布団をかぶって、寝たふりを決め込んでいる私の体を、彼が優しく揺らす。

…甘いなあ。

この人は、恋愛モードに入るとこんなに甘ったるい人だったとか、誰が知ってるんだろう。

たぶん歴代の彼女と、私しか知らない。

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りたわかめ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます、多分、3ヶ月ぶりくらいに更新した気がします・・・。夏の間は死んでました(T^T) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» 本日、移行しました!読んで頂けたら嬉しいです(/ω\*) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - わかめさん、更新ありがとうございました。めちゃくちゃドキドキです。 (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 久々の更新楽しみにしてました!!楽しく読ませていただいてます(*´ω`*) (2020年9月1日 22時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» わざわざ聞かせてみましたwwwいこう!ってwwww (2020年9月1日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月7日 22時

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