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交代とは…。

まさか、北山くんが私の身体を触るってこと?

「それは無理!」

即座に断った私を、彼は唇を尖らせ気味に不満げに見上げてくる。

…壮観。

こんな情景を私が独り占めしていいものなんだろうか。

「不公平じゃない?」

「不公平じゃない」

「Aばっか触り放題で、俺には触らせない気?」

そんなこと言われても絶対に無理。









彼の上に跨ったまま、まだ不満そうな彼に今の気持ちを伝えてみる。

「あのね、私はもう10年以上北山宏光が好きだったんだよ
もう純粋にファンだったわけ
テレビの画面越しとか双眼鏡越しだとか、紙上でしか見たことがなくて
そんな人とこんなことしてるのだって、私にとっては異常事態なの」

「…意味わかんないし」

とか言いながら、彼は呆れ笑いで私に手を伸ばすけど、

「だめ」

そう言ってその手を掴んだ。

両手を恋人繋ぎにして、お互い押し合ったりして遊んでるけど、

本当なら簡単に私のことなんか逆に押し倒せるはずなのに、それをしないってことには、ちゃんと気付いてる。







「今はこれが限界
今日は、私が宏光に触るだけ」

「…は?
今まで一緒に寝てたり、キスしたりしてたのに?」

「私の中で、大好きだったアイドルの北山宏光と、現実で会ってた北山宏光は別物だと考えるようにしてたから
でも今日、全部バレちゃって、アイドルの北山宏光と現実の北山宏光が脳内で合致しちゃったっていうか…」

これ以上は自分の気持ちを、どう表現していいのかわからないんだって。

今までは、脳に「この人は北山宏光ではない」と指令を出してる状態だったのに、

今日、全ての指令が解除されたような感覚で。

私だってもう、どうしていいかわかんないんだって!








「変なの」

彼はくすりと笑って、ようやく堅く繋がれていた手を離してくれた。

その代わり、私の後頭部に手のひらを添えて、ゆっくりと引き寄せてくる。

自分の肩先に私の頭を誘導した彼は、満足げに幸せそうな溜息をついた。

…てか、彼の上に完全に体が乗っちゃってんだけど。

重くないのかな。

「Aの言いたいことは、大体わかった
俺も正直、ファンの子と付き合うのなんか初めてだし
ファンの子と付き合うこともないだろうって思ってた
だから、俺もどう付き合っていいかわかんなくはあるんだけど」

真夜中の部屋の中、彼は眠そうな低い声でぽつぽつと話してくれる。

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りたわかめ(プロフ) - えりさん» ありがとうございます、多分、3ヶ月ぶりくらいに更新した気がします・・・。夏の間は死んでました(T^T) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ひろさん» 本日、移行しました!読んで頂けたら嬉しいです(/ω\*) (2020年9月6日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - わかめさん、更新ありがとうございました。めちゃくちゃドキドキです。 (2020年9月5日 17時) (レス) id: 8591dd4797 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 久々の更新楽しみにしてました!!楽しく読ませていただいてます(*´ω`*) (2020年9月1日 22時) (レス) id: 57f2f46317 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - moraさん» わざわざ聞かせてみましたwwwいこう!ってwwww (2020年9月1日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめ | 作成日時:2020年2月7日 22時

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