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高3の彼と高1の私が、同じ空間で高校生活を過ごせるのは、あと数か月しかないのに。

そして今日も、彼がさっきの女の子の腰を抱くようにして下校しているのを、教室の窓から眺めていた。

「北山先輩、また違う女の子と一緒に帰ってるね
どんだけモテたら気が済むんだよ」

同じように窓越しに彼を眺めていた友達が、そんなことを言ってくる。

「大体、何で北山先輩はAにいつも声をかけてくるわけ?
幼なじみなんだっけ?」

「…まあ、そうだけど」

「律儀だね、幼なじみの後輩に、会うたびに声かけなくてもよくない?」

私達の関係は、家族以外は誰も知らないから。

他人から見ればきっと、不思議に思うんだろうな。

ああ…、私は一体どうしたいんだろう。

そう思っただけで、ため息が漏れる。

彼のことが好きなんだ。

男という種族は彼しかいないと思うくらいに、彼しか見てこなかったから。









秋の終わりの休日、友達とカラオケ帰りに通った繁華街の外れの道で、

私達はとんでもないものを目にしてしまった。

その道は奥に進むとラブホテル街なんだけど、

道の向こうから彼と例の彼女らしき人が歩いて来たのを見つけてしまった。

私達は近くのコンビニに逃げ込むようにして、2人が通り過ぎるのを待つ。

「あれ、絶対ラブホから出て来たよね?」

何も知らない友達は、無邪気にそう話しかけてくるけど、

私は意外にショックを受けなかった。

あと一押し。

あと何かひとつ、起爆剤になるようなものがあれば、私は彼のことを解放してあげられるのに。









そんな気持ちで迎えた、翌年の御年始の挨拶。

彼は学校で見せるようなやんちゃな気配をまるで消して、凜として私達を出迎える。

うちの家族はそんな彼のことを口々に誉めそやすけど、それでも彼は涼しい笑みを携えて受け流していた。

北山家とうちの祖父は同郷の幼なじみで、

祖父達はお酒も入って盛り上がるから、いつもこのご年始の宴は長くなる。

そして最後には必ず、こう言われるんだ。

「いずれAちゃんも、この家に入るんだから」

向かいにいる彼の様子をさりげなく窺うけど、聞いているのかいないのか、涼しい顔をして座っているだけ。

そういうすました顔ですら、私の胸を疼かせるんだから、本当に彼は悩ましい人だ。

3→←CANDY-HOLIC …… りたわかめ 1



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Haru(プロフ) - moraさん» 私もかなり楽しんでるんだよぉ。でも、まさかわかめさんのみっくんがマネっていうのは発想ないなってときめいた!私もベタに攻めてく事も考えてたんだけど少し趣向を変えてみました。最後までお付き合いくださーい♪ (2020年1月24日 15時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - まきこさん» まきこさーん!みっくんマネもなかなかリアリティあるよね♪ドS発揮しててうずうず(笑)私のはどーなるのかしら(笑)ラブが芽ばえるかどうか、お楽しみに(^^)私なら1度だけで多分ドロドロになってて相手にされなくなるんだわ(笑) (2020年1月24日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 流布さん» 流布さーん!初コメ!嬉しいです♪やっと更新出来ました!それぞれのお話、楽しんで頂ければと思います(^^)またコメントお待ちしてますね! (2020年1月24日 14時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
mora(プロフ) - 同じ題材で、お二人の話が全然違うのが本当に最高!!!今回は立場も逆だなんて。なんか、お二人凄すぎ。 (2020年1月23日 22時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
まきこ(プロフ) - アイドルとマネージャー!まさかみっくんがマネージャーとは!!さすがわかめさん!!しかも売れないアイドルに厳しいとか、、最高じゃないですか(>_<)Haruさんの書くマネージャーもドライっぽいけど、、どうなってくのかなー私なら尻尾ちぎれるほど振って行くなぁ。 (2020年1月23日 21時) (レス) id: cfbbd37a93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りたわかめとHaru x他1人 | 作成日時:2019年9月13日 23時

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