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「教授経由で、元彼の住んでる地域の仕事を紹介されたって話?」

…ほぼ、話しちゃってんじゃん、それ。

「それは断ったんだけど、翌日に別件の仕事を紹介されて、それは保留にしてるってことも」

てかそれ、全部聞いちゃってない?

まあ…、今回は理由が理由だから、仕方ないけどさ。









「その保留にしてる仕事も、元彼のいる地域なんだって?」

そう訊ねてくる彼の表情は、意外と無表情で。

彼の真意が読めないでいた。

軽蔑してるのか、呆れてるのか、もしかしたら勧めてくれるのか。

「行くの?そこ」

まっすぐ私を見てくるくせに、やっぱり無表情の彼は、

私が何も答えられないのを見て、諦めたように視線を逸らした。

「俺に相談しようとしてたんじゃないの?それ」

「そうだけど…」

「俺の考え、聞きたい?」

…どうだろう。

聞きたいような、聞きたくないような。









「…うん」

曖昧な返事をしてみた。

まだこの件に関しては、自分でも決めかねてるから。

彼の意見を参考までに聞いてみるのもいいと思ったんだ。

「じゃあ、その前に幾つか質問してもいい?」

「…いいよ」

「Aちゃんは、その元彼にまだ少しは気持ちが残ってたりする?」

「しない」

「何で?」

容赦ないな…。

彼はいつも私を質問攻めにする。









「別れるきっかけになったのが、彼が南九州の大学に行くから結婚してついて来てほしいって、言われたことだったんだけど」

「うん」

彼の相槌はいつも心地いい。

だけど、先を急かされてるような気分にもなる。

「その頃私は、ポスドクになりたてで、自分の研究も始まったばかりで
だから仕事を理由に断った」

「保留にはしなかったけわけ?」

「…しなかった」

「それは何で?」

「最初は、数年待ってもらおうかとも考えたよ
でも彼に「Aのやってる仕事はAじゃなくてもできる。女の子はいずれは仕事を辞めて家庭に入るのが普通じゃない?」って言われて、一気に気持ちが冷めた」

さすがにこれは、彼も黙り込んでしまった。

元彼はガチガチの昭和脳で、男尊女卑とまでは行かないけど、「女は家庭に入るべき」みたいな考えを持ってたんだなって、その時初めて気づいたんだよね。

だからもう、この人とは結婚できないなって、一気に気持ちが冷めたんだ。









「じゃあ、もうその人に気持ちは全然ないわけ?」

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りたわかめ(プロフ) - えぴさん» ありがとうございますm(__)m (2022年1月2日 21時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
えぴ - ほんとにリアルすぎて最高です! (2022年1月2日 18時) (レス) @page21 id: 06d564cdce (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - えりさん» 本日、移行いたしました。えりさんをドキドキワクワクさせられますように(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - renaruriさん» 更新いたしました。ちょっと急展開になってるかもです(/ω\) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - moraさん» やったー!いい感じに予想を裏切れてる?私w moraさんの予想を裏切れるよう頑張ります(*'ω'*) (2020年2月7日 23時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2019年9月28日 20時

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