花朝月夕

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「驚いた
Aちゃんがそんなにホームパーティーに興味を示すなんて」

「そろそろ、そういう華やかな世界も経験してみたくて」

苦し紛れの嘘をついてみるけど、霞さんはあっさりとそれを信用してくれた。

「確かにAちゃんもお年頃だし、社交界デビューするべきだよね
今回は旦那の友達の男子がいっぱい来るから、合コン感覚で遊びに来てよ」

…合コン！

そんなの行ったことないんですけど！

しかもその合コンメンバーの中に、北山くんが混じってるって。

前世でどんだけ徳積んだら、そんな合コンに参加できんのよ！









「あの、霞さん
お願いがあるんですけど」

「何？」

「私がＴ大の研究室に勤務してるってことは…、」

「わかってる、伏せときたいんでしょ？
別に気にしなくていいのに」

霞さんはそう言うけどさ、高学歴の女子って意外と敬遠されるものなんだよ。

男子といい感じになっても、大学名を出した途端に相手がドン引きしたって話は、友達から腐るほど聞いてきた。

…北山くんはきっと違うはず。

だけど…、目の前でドン引きされるのは、さすがの私でも傷つくから。









「今ね、みんなの都合のいい日を聞いてんだけど、ちょうど北山くんからLINEが来たとこなの」

霞さんはスマホをいじりながら、何気なくそんなことを話してくるけど…。

ちょっと待って！

あの北山宏光とLINE交換とかしてんの？

今までずっと一緒にランチしてきた霞さんが、まさか私の全く手の届かない最愛の人のLINEアドレスを所持してたなんて！！！

「Aちゃんは？
都合の悪い日とかある？」

「…ないです」

だって私の用事のある日は大概、北山くん絡みなわけで。

その北山くんが暇なんなら、私も暇に決まってる。









そんなことがあって、ようやくこの日にこぎつけた。

シュミレーションはばっちり。

北山くんはきっと、ファンの子が自分のプライベートに立ち入ることを本気で嫌がるだろうから。

私は彼を全く知らない、という設定でいくと決めた。

今日の私は、テレビをあまり見ないし、キスマイも知らない、そんな普通のОＬを演じるんだ。

今日はお庭でバーベキューパーティ。

続々と霞さんの家に、ゲストが集まってくる。

そしてとうとう、

「お邪魔します」

っていう、聞きなれた愛しい声が玄関先から聞こえてきた。

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