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「北山さんは？
何のお仕事をしてらっしゃるんですか？」
さんざん悩んだ挙句、そんな白々しい言葉を繰り出してしまう。
私はあなたが何者なのか存じ上げておりません的な、スカした質問。
彼が一瞬だけ目を見開いたのがわかった。
そして、ほんの少しだけ警戒を緩めたのも。
やっぱり私のこと、ファンなんじゃないかと警戒したんだろうな。
「書類には自由業って書いてる」
そして彼も、そんな曖昧な言葉で返してくる。
「ちょっと待ってて
飲み物持ってくる」
そう言って席を立った彼は、しばらくして数本の缶ビールを抱えて、テーブルの前にドンと置いた。
「緊張してんじゃない？もっと飲めば？
みんなAちゃんがＴ大出だって聞いて、ビビってんのかもね
あんまり変なこと言ったら、バカにされるんじゃないかと思って」
「北山さんもそう思ってました？」
「少しだけね
でもＴ大女子の話、面白そうだし
もっと聞いていい？」
興味津々って顔をして、北山くんは次々と質問を投げかけてくる。
「やっぱ家にテレビとかないの？」
「何でですか？」
「前にＴ大生の部屋を紹介する番組を見たんだけど、テレビのない部屋が多かったから」
「ありますよ、普通に」
…てか、テレビがないと生きていけないんですけど。
食事中も、論文を書く時も、常にキスマイのＤＶＤを流しながらだし。
でもそんなこと、言えるわけがない。
「こういうパーティーって、よく来んの？」
「実は初めてで
そろそろ外の世界を知っとかなきゃなあ、って」
そう言っただけで、北山さんは弾けたように笑い出す。
「Aちゃんって面白いわ
やっぱ研究ばっかで、外に出ない感じ？
合コンとか行ったことある？」
「ないです」
会話が弾むごとに、私のビールを飲むスピードも上がっていき、
自分のエピソードを話す度に、彼がいちいち笑ってくれるのが嬉しくて、私はますます増長していく。
「Aちゃん、顔真っ赤」
彼の指が不意に伸びてきて、私の頬に容赦なく触れた。
思いっきり驚いて身を引いてしまった私を見て、また彼は笑い出す。
…夢みたい。
１０年間ずっとテレビや双眼鏡のガラス越しでしか拝めなかった彼が、今こうして目の前にいて、屈託なく笑いながら、私に触れてきたりもする。
だけどこんな風に彼に会うのは、これが最後だろうから。
私はこの一瞬一瞬を全て、脳内の細胞に焼き付けるんだ。
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18rf(プロフ) - わかめさん» わあ！返信有難うございます！！なるほど、そうだったんですね！！主人公ちゃんの気持ちすごいわかるなあ、北山さんに触れたい！！って毎回なってます笑これからの展開たのしみにしてますね！！ (2019年7月30日 0時) (
レス) id: 6b95d259ee (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - わかめさん» 返信ありがとうございます！沢山連載あるのに更新ありがとうございますTT (2019年7月22日 23時) (レス) id: 24794ead76 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ふうさん» コメントありがとうございますm(__)mそんなこと言っていただいてうれしいです(/ω＼)今夜も更新しようと頑張ってますが、もう既に眠いのでくじけるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - アップルさん» そんなことと言っていただいて、ありがとうございます！ご褒美だとか、本当にもったいないくらいです。夜桜と北山くん、かなり素敵だと思われます！どうぞこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 18rfさん» はじめまして、コメントありがとうございます。毎回気になるところで終わりますよねwでもこれ、実は自分のためなんです。次を書きたくなるようなところで終わらせておかないと、次に書く気がなくなっちゃうので(/ω＼) (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2019年6月25日 22時
