花朝月夕

33 ページ33

「霞さん、絶対誰にも言わないって約束してくれます？」

そう言っただけで、好奇心でいっぱいになる霞さんの瞳。

「絶対言わない」

「特に旦那さんには」

「わかった」

深呼吸した私は、霞さんに全てを打ち明けた。

私はもう10年、いや11年来の北山くんのファンで。

あのホームパーティーも、プライベートの北山くんが見たいがために参加したこと。

素の北山くんに会えてうれしいけど、嘘をついていることでいつも罪悪感を感じてたこと。

だからもう北山くん断ちをして、担降りしようと考えてること、全てを。









表情をコロコロ変えながらも、霞さんは私の告白を黙って聞いてくれていた。

「というわけなので、北山くんにはもう金輪際会えません」

「…驚いた
Aちゃんがアイドル好きとか、全く気付いてなかった！」

って、何故か霞さんは落ち込んでいる。

「Aちゃんのことは大体分かってるつもりでいたのに
…って、朋ちゃんはこのこと知ってるの？」

「知ってるどころか、朋は藤ヶ谷担で、
しかも私をキスマイに引きずり込んだのは朋だし」

それにはさすがに霞さんも言葉をなくして、ただただ驚愕していた。









「じゃあ二人とも北山くんのことをよく知ってた上で、あんな態度をとってたわけ？」

そう言われて、今度は私が謝る番になる。

「本当に申し訳ありませんでした」

かなりガチモードで頭を下げたのに、霞さんはあっさりと笑い飛ばしてしまう。

「なるほどね
これでAちゃんが頑固に断わってくる理由がわかったわ」

「なので、もう誘わないでもらえるとありがたいです」

そう言ってるのに霞さんは、

「何で？
そんなに好きなら尚更来ればいいじゃん」

とか、いとも簡単に言ってのける。

そんな簡単なものじゃないんだって、私の心情は。

私の心理は、あくまでファン心理であって、恋愛感情ではない。

だからこそ、そのファン心理が恋愛感情に移ってしまうことが一番怖いことなんだって！

そうなったら私は、きっと精神をやられてボロボロになってしまうのは目に見えてる。

34→←32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す