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それからしばらくして、朋が慌てた様子で店に入ってきた。
私のカゴの中身を一瞥して全てを理解したのか、そのカゴに今度は大量のアルコールを投入してはレジに持って行ってしまう。
「今夜は飲もう」
両手いっぱいにレジ袋を持った朋は、そのままタクシーを止めて、まだぼんやりしている私をちゃんと部屋まで連れ帰ってくれた。
部屋に帰ってからの私は、もう完全に挙動不審で、買ってきたスイーツを片っ端から食べていて、
そんな私を朋はビールを飲みながら、心配そうに眺めていた。
ある程度、お腹いっぱいになったところで私は、ベッドに横になって目を閉じる。
目を閉じたまま、今日あった出来事をひとつひとつ朋に話しているうちに、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
「それって、誰も悪くないじゃん
Aも霞さん達も」
「でも嘘をついてる私が一番悪いと思う」
「そうかな?
私的に一番悪いのは北山くんだと思うけど」
その言葉に、ようやく私は重い瞼を開けた。
「Aに思わせぶりなことして、引っ掻き回してるのは北山くんじゃん」
普段なら北山くんの悪口なんか言われようもんなら、ムキになって言い返してたのに、今日はそんな気力も湧いてこない。
「でも私も、北山くんが何を考えてるのかよくわかんない
Aのことをからかって遊んでるだけかと思ってたけど、見てる限りそんな風には見えないし
かといって、恋愛感情があるようにも思えないし」
そうだよね。
私にもわかんないや。
あんなに好きで、何でも知ってるつもりでいたのに、本当の北山くんのことは何もわかんなくて。
お互いが嘘をつき合って、自滅してるような気がする。
「でも北山くんがAをお気に入りなのは伝わってくる
でも、だからこそタチが悪いよね」
続けて朋は言う。
「Aにこっそり電話してた時、いつの間にか北山くんが背後に立っててさ、
いきなり小声で「貸して」って電話を奪い取って来たんだよ
その時の顔が、鬼カッコよくてさ
うっかりキュンキュンしちゃったんだけど」
朋はそう言ってケラケラ笑ったかと思えば、急に真顔になった。
「でも、もう会わないんだからいいよね?」
うん、もう会わない。
今度こそ、本当に本当。
そんな話をしている途中、霞さんから電話がかかってきた。
「霞さんだ」
「出れば?
何か忘れ物でもしてんじゃないの?」
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18rf(プロフ) - わかめさん» わあ!返信有難うございます!!なるほど、そうだったんですね!!主人公ちゃんの気持ちすごいわかるなあ、北山さんに触れたい!!って毎回なってます笑これからの展開たのしみにしてますね!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 6b95d259ee (このIDを非表示/違反報告)
ふう(プロフ) - わかめさん» 返信ありがとうございます!沢山連載あるのに更新ありがとうございますTT (2019年7月22日 23時) (レス) id: 24794ead76 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ふうさん» コメントありがとうございますm(__)mそんなこと言っていただいてうれしいです(/ω\)今夜も更新しようと頑張ってますが、もう既に眠いのでくじけるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - アップルさん» そんなことと言っていただいて、ありがとうございます!ご褒美だとか、本当にもったいないくらいです。夜桜と北山くん、かなり素敵だと思われます!どうぞこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 18rfさん» はじめまして、コメントありがとうございます。毎回気になるところで終わりますよねwでもこれ、実は自分のためなんです。次を書きたくなるようなところで終わらせておかないと、次に書く気がなくなっちゃうので(/ω\) (2019年7月21日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年6月25日 22時