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こんな風に裕太を見送るのなんて、いつぶりかな。
だからなのか、不思議と顔が緩んでくる。
2人で部屋を出て、きちんと鍵をかけた。
前は施錠しないまま、下まで見送りに行ってたんだけど、裕太によく注意されてたから。
エレベーターに2人で乗ったら、なんでか少しだけ緊張してくる。
いきなり狭い個室に2人きりとか、ちょっと落ち着かない。
1階のボタンを押そうとした途端に、裕太に手を掴まれて、そのまま隅に追い詰められるような形でキスされた。
キスの仕方が、1号とは微妙に違う。
「また来ていい?」
唇を離したあと、裕太は視線を落としたまま、そんなことを言ってくる。
いいに決まってんじゃん。
だってあなたは、私の彼氏なのに。
エレベーターが1階に着いて扉が開いた途端、目の前に横尾さんがいて驚いた。
なんか、ちょっとしたデジャヴを感じる。
昔もこんな風に、マンションで裕太といるところで鉢合わせしちゃったんだっけ。
横尾さんもかなり驚いてたみたいだけど、お互いに会釈だけ交わして通り過ぎた。
エントランスの外に出て、裕太は、
「今の…、横尾さんだった?」
と目を丸くしている。
「知らなかった?同じマンションに住んでるって」
「そうだったっけ」
「前にもこんなことがあったんだよ
会社に内緒で付き合ってたから、マンションのエントランスでばったり横尾さんに会っちゃって、即バレちゃった」
2人でくすくす笑い合って、何故か自然と手を繋いでいた。
その手が離せなくて困るのは、昔と同じだ。
「明日も来ようかな」
裕太は甘ったるい口調でそんなことを言ったあと、
「手、離せないんだけど」
って、はにかんだように微笑んだ。
私達はまるで、ぎこちない十代の恋愛みたいなことをしている。
だけど、ずっと胸が切なく苦しいのは、大人になっても変わらなかった。
なんとかお別れして、自分の部屋の階に戻ろうとした時、エレベーター前のロビーにまだ横尾さんがいるのが見えた。
ベンチに座っていた横尾さんは、私を手招きで呼び寄せる。
「驚いた、付き合ってんの?」
私も隣に腰かけて、とりあえず今までの経緯を話しみたけど。
「前にAから異動の話をされてたじゃん?
異動希望の締切が来月末までだから、一度話をしなきゃと思ってたんだけど
復縁したんなら、もう必要ない感じ?」
どうなんだろう。
それは私にもまだ、よくわからないな。
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りたわかめ(プロフ) - くるりさん» まだ読んでいただいてたらありがたいです。地味に更新しました(/ω\) (2021年6月15日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
くるり(プロフ) - キュンキュンしたり切なくなったりしながら読ませていただいてます!これからの展開がとても楽しみです。更新大変だと思いますが無理せず頑張ってください!応援してます! (2020年8月19日 9時) (レス) id: e6324db40e (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - ゆりかさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます!実は本当はもっと悲しい設定にする予定だったんですが、書いてるうちにこんな感じに仕上がってしまいましたwこれからもどうぞよろしくお願いします<(_ _)> (2020年3月17日 2時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりか(プロフ) - いつもいつも楽しく読ませて頂いてます!前の記憶を覚えていないもどかしさであったり、悲しいところもあったり、キュンキュンしたり、本当に大好きなお話です!本当に面白いです!次回の更新も楽しみにしています(^^) (2020年3月9日 5時) (レス) id: 6a4601e7a5 (このIDを非表示/違反報告)
りたわかめ(プロフ) - みなさん» お返事遅くなりまして、申し訳ございませんでした!記憶喪失になっても、本能で好きになってしまう的な話が書きたくて(/ω\*) (2020年1月13日 21時) (レス) id: 4a0ecf03f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2019年10月27日 16時