原色ＡＢ型男子図鑑

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無事に会場に到着して私が降りた後も、２人はずっと会場に入って行くまで見送ってくれた。

それがうれしかった私は、何度も何度も振り返っては手を振ってみせた。

車中、相変わらず太輔さんは全然口をきいてはくれなかったけど、

服のお直しをしてくれてる時のあの優しそうな目を見てたら、悪い人ではないのかも。








入学式ではやっぱりみんなリクルートスーツの人が多くて、私は浮いてしまってるようにも思えたけど、内心実は得意気だった。

みんな私のスーツを横目で見てたから。

この服は私のお兄ちゃん達が作ったんだよ的な、変な優越感も感じたり。

家に帰ってしばらくして、起き出してきた健永さんにも、

「会場に入って行く人の中で、Aちゃんが一番可愛かった」

って、目を細めて褒められたし。

それだけで溶けちゃうくらいにうれしくなるのは何でなんだろう。








だけど翌日、大学へ行こうとリビングに顔を出した途端、

２人して私の私服を見てそのまま、顔を曇らせるのはどういうこと！？

「Aちゃん、本当にそれ着ていくの？」

って、健永さんは眉までひそめて。

普通のグレーのパーカーとジーンズなんだけど。

そんなに変！？

「昨日あんなに素敵なスーツを着てたAちゃんが、翌日はその服装ってどうなの？」

太輔さんは無関心を装ってるけど、やっぱり私の服装が気に入らないみたいだ。

登校時間が迫ってたから、そのまま家を出て来たけど。

そんなに私の服装ってひどいかな？

至って普通の大学生なんじゃない？

そう思ってた私は、登校してすぐに現実を知った。

芸大だけあっていろんな服装の人がいて、ラフな人もいれば超個性的な人もいたりで、とにかく奇抜なくらいに自由だった。

入学式のあの地味さは何だったの？って思うくらいに。









夕方、家に帰ってきた私を健永さんは強引にリビングに連れ込んだ。

テーブルの上には、大量の服と小物が広げられていた。

「明日からAちゃんは、うちの服しか着ないでくれる？」

多少強引にそう言ってのけては、健永さんは勝手に私の体のサイズを測り始める。

向こうでは太輔さんは真剣な目をして、服を組み合わせてるし。

「せっかく出来た妹に、俺らの作った服を着てほしいから。」

そんなにキラキラした目でそんなこと言われたら、断りにくいじゃん。

妹には無関心なのかと思ってた２人の兄は、服装過干渉な、

なかなか面倒くさい人達だった。

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