48 ページ48
屋台に着いた私達は、いろんな食べ物を次々と買っていき、何故か車に戻ってしまった。
「花火は見ないの?」
「見るよ、特等席で」
太輔さんはそう言いながら、車を発進させる。
車は山道をくねくねと上がっていき、とうとう山頂に到着してしまった。
山頂にある駐車場には何台かの車が停まっていて、2人はトランクから荷物を降ろすと、キャンプ場の方へ歩いて行った。
「ここで見るの?」
「そう
ここ穴場なんだよね」
「もしかして毎年来てる?」
「最近は来てないかな…」
健永さんはチラッと太輔さんの方を窺ってから、曖昧な言い方で誤魔化したように思えた。
キャンプ場のテーブル付きのベンチについた私達は、机の上に屋台で買ってきたものやドリンクを並べて、次々と打ち上がる花火を眺めていた。
「今年はAと来れてよかった」
健永さんは本当に楽しそうにそう言って笑いかけてくれるけど、私は別のことが気になっていた。
今年は…、ってどういうこと?
だけど本当に2人とも楽しそうにしてるから、その言葉は流しておくけど。
打ち上がる花火は美しくて、
花火の光で照らされる2人の横顔を垣間見ながら、私は変な気分になっていた。
これは夢なんじゃないかって。
孤独な田舎者の私に、神様が期間限定で与えてくれたご褒美なのかもしれない、みたいな。
この幸せが永遠に続くなんて、その時の私にはとて思えないでいた。
帰り道も花火帰りの車で渋滞してたけど、私達は行きと同じようにDVDを見ながらのんびり車を走らせていた。
「今年の花火大会は本当に楽しかった」
健永さんは満足げにまた、「今年も」って言葉を足した。
「来年もまた来ような」
太輔さんもそう言ってくれるけど、私には来年なんてもうないような、そんな変な予感をずっと感じてた。
「もうすぐグランピングも行くしね
今年の夏はやりたいこといっぱい出来たかも」
健永さんは毎年のように、そのグランピングとやらに行ってるんだって。
だけど、そのグランピングの出発の朝、ポストに入ってた封筒を見つけてしまった。
それは、例のDNA検査の結果報告の書類で。
ハイテンションで準備してた私達は、一気にトーンダウンしてしまう。
リビングのテーブルに未開封の封筒を置いて、まるでそれを囲むように座っていた私達は、
それぞれに心の中でいろんな感情と戦いながら、ずっと黙り込んでいた。
2028人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふう(プロフ) - はじめまして!血液型のお話好きなんですが、特にこのAB型のお話が大好きです(^^)他にも沢山お話があって投稿大変だと思いますが、続きも楽しみにしています!! (2019年2月17日 23時) (レス) id: 71f814ca4b (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 夏小町さん» はじめまして、コメントありがとうございますm(_ _)m…って、はじめましてちゃうやーーん!あの節は本当にありがとうございました!小町さんの好きな太輔さんが書けるよう、頑張ります! (2019年1月16日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - キスマイさん» はじめまして、コメントありがとうございますm(_ _)mときめいたとか!!!ありがとうございますm(_ _)mまだこの先の話が全く浮かんでない状態て、この先どうなるのかわかりませんが、引き続きよろしくお願いします! (2019年1月16日 22時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
夏小町(プロフ) - はじめまして(某所では別HN○○小町でお話したことあります)。いつも本当に楽しみにしています。太輔担なのでAB型男子を心待にしてました。この先どう恋愛に発展していくのか、毎日楽しみにしてます。 (2019年1月14日 9時) (レス) id: f794986061 (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - はじめまして!AB型の二人のお兄ちゃんすごくときめきました(*´ω`*)服のお仕事もとても似合いますしこの先どうなるのかとても楽しみです。これからも更新楽しみにしています! (2019年1月14日 8時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わかめ | 作成日時:2018年12月26日 1時