原色ＡＢ型男子図鑑

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その日の夜、バイトさんが全員帰ったのは２３時を過ぎてからだった。

私が課題をしている横で、２人はまだ仕事中。

さっきから課題をしながらも、２人の様子が気になって仕方ない。

どうしても今夜、２人に言いたいことがあるんだ。

しばらくして、

「ちょっと休憩入れる？」

太輔さんのそんな声が聞こえてきた時、私は率先してコーヒーを準備してみる。

「何？
いつもは何もしないAが、急にコーヒーとか」

って、太輔さんに笑われたけど、そんなの気にしてられないから。







一息ついている隙を狙って、２人の間にわざとらしく座ってみた。

「あのさ…、ちょっとお願いがあるんだけど」

そう切り出した私を、２人は黙って見つめている。

「前に言われたＤＮＡ検査なんだけど、
ちゃんと受けてみたいって思うんだ」

そう言った途端に、２人は揃って難しい顔をした。

「何で急にそんなこと言うわけ？」

健永さんは椅子ごと私に詰め寄ってくるけど、太輔さんは無言のまま。

「だってスッキリしないから
このままじゃ私は、２人に心から甘えることなんかできないし」

「無理にハッキリさせなくていいと思うけど」

太輔さんもやっぱり渋い顔をする。

「親父も反対してるから
そんなことする必要はないって」









「ＤＮＡ検査をするのは、私とお父さんじゃないよ
私達３人がするんだよ」

もうお父さんと血が繋がってるとかいないとか、今はどうでもいいんだ。

目の前の、この兄達と血が繋がってるのかどうかの方が気になるから。

「ちょっと考えさせて」

太輔さんのその一言で、その話題は終了となってしまった。

２人が嫌がるのはわかるよ。

でも私は、ハッキリさせておきたいんだ。









あれから数日、兄達が忙しいせいもあって、その話題はまるで抹殺されたかのように出てこなくなった。

そして納期が終わった週末、私と太輔さんは約束していた通りにディズニーランドへ。

その日は雨で、アトラクションも意外にすいてたせいで待ち時間もあまりなくて。

本当は今日、太輔さんときちんと話したいと思って来たんだ。

だけど日頃クールなイメージの太輔さんが、

今日は無邪気にはしゃいでるし、あまりに楽しそうだから。

とてもそんな重い話題をぶち込むことは出来なかった。

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