原色ＡＢ型男子図鑑

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バイトを始めてから、毎日のようにバイト中に健永さんが買い物に来るようになった。

家の前にコンビニがあるのに、わざわざ駅前まで。

いつもデリバリーとか外食が多かった夕食も、私のせいでコンビニ弁当ばかりになってるみたいで申し訳なくて。

「毎日来てくれなくていいんだよ？」

とか言ってみるけど、

「別に、買い物に来てるだけ」

なんて、可愛らしい笑顔で躱されてしまう。

帰り道はさりげなく、途中まで迎えに来てくれたりもする。

「大丈夫だよ、１人で帰れるのに」

「わかってんだけど…
Aちゃんが帰ってくる時間になったら、落ち着かなくなるっていうか
迎えに来たくなっちゃうんだよね」

健永さんはそう言ってくれるけど、それって私のことを妹だって受け入れてくれてるってこと？









昼間は店が立ち並ぶ賑やかな街も、夜になると怖いくらいに静かな街になる。

街灯だけがポツポツと照らす暗い道を歩きながら、どうしても健永さんに聞いてみたくなった。

「私のこと、疑ってないんですか？
妹じゃないかもしれないのに」

言い方を間違えたかなって思ったけど、そんな私の心配も健永さんは笑い飛ばしてしまった。

「やっぱ気にしてた？
まあ、気にするよねー、いきなりＤＮＡ検査しろとか言われたわけだし」

「なんか、自分でも落ち着かないから
ＤＮＡ検査の結果が出て、晴れてあの家の一員になれるっていうか…」

まだ私は、あの家に居候してる気分で。

自分の家だとは、とても思えないんだ。









「だからまだ、あんなクローゼットに住んでるわけ？
屋根裏部屋の掃除するとか言いながら、全然してなくない？」

だってあの屋根裏部屋の真下は太輔さんの部屋なわけで。

太輔はさんは昼間は寝てるだろうから無理だし、夜は課題が忙しくてとてもそんな余裕はない。

「少なくとも、もう俺はAちゃんのことを妹だと信じてるけどね
可愛いし、大事だし、心配」

ありがたいけど、変に心臓が騒ぐ。

もし私が妹じゃなかったら、この信頼を全てなくしてしまうことになるんだと思ったら、とてつもなく恐ろしくて。

「たぶんガヤさんもそう
Aちゃんのことを、妹と認めてるはず
あと一押しって感じかな」

「ＤＮＡ検査の結果が出てからってこと？」

「…てか、親父が拒否してんだよね、検査すんの
でも俺も、しなくてもいい思ってる
本当はね、俺はAちゃんが妹だろうが妹じゃなかろうが、可愛くて大切だって思ってるから」

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