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「帰るか。」

そう言って早足で神社を去ろうとする先生を、小走りで追いかける。

「今の人、前の学校の生徒さん?」

「そう。」

先生は急に言葉少なになって、視線を落としたまま早足で駅への道を進んでいく。

その横顔は憂鬱そうに見えて、やっはり胸がざわつく。

その背中からは「話しかけんな」オーラが出てて、声もかけられない状態だし。









先生が次に口を開いたのは、電車の中だった。

「…時間差で帰るか。
先に入って待ってて。
俺は軽く買い物してから帰るから。」

そして最寄り駅に着いたら、

「じゃあ、気を付けて帰れよ。」

って他人行儀に私の肩を軽く叩くと、そのまま1人で改札を抜けて行ってしまった。

…この行動だけで、なんとなくわかった。

あの時見せられた画像は、先生のマンションで当たりだったんだ。

ということは、彼女は先生のマンションを知ってるってことだよね。









このまま部屋に戻るのはまずいんじゃないかな…。

もしかしたら、彼女が先回りして待ってるかもしれない。

だから、先生のマンションまで向かってた道をそのまま脇道にそれて、自分の部屋へ帰ってみた。

暗くなった頃に、こっそりまた先生の部屋へ帰ればいいや。

その時はそう思ってた。

久しぶりに自分の部屋のベッドに横になってみたら、あまりの居心地の良さに自然と瞼を閉じてしまう。

別に先生の部屋のベッドの居心地が悪いわけじゃないよ?

久々の1人の時間が愛しいなって思っただけ。

瞼を閉じたらそのまま、眠ってしまうのは至極当たり前のことで。

私が次に目が覚めたのは、夕方近くに鳴ったドアホンのベルの音だった。









…やば。

かなり寝ちゃってたか。

机に放置していたスマホには、先生からの着信がものすごい数で入ってた。

寝起きのまま玄関のドアを開ければ、先生はすぐに部屋に上がり込んでくる。

「A、何かあった?」

って、多少焦りがちに、私の両肩を掴んで。

寝起きのまだ働かない頭で、

「…ごめん、寝ちゃってた。」

素直にそう謝れば、あからさまに安心している先生の顔。

「もしかして、心配させた?」

「したに決まってんじゃん。
部屋には帰ってないし、電話をかけても繋がらないし。」

「だって、裕太の部屋にまっすぐ帰るのは危険だなって思ったから。」

正直にそう言えば、先生は何も答えてくれない。

「だってあの子が見せてた画像、先生のマンションの画像だったんでしょ?」

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わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時

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