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先生だ…!
こちらに背中を向けて電話をかけ続けてる優さんはに見つからないように、こっそり車の陰で電話を受けた。
「今どこ?
これからAん家に行こうと思ってんだけど、なんか食べたいもんある?」
って、普段通りの声で。
「今、優さんから電話入ってない?」
「…は?
かかるわけないじゃん、着信拒否してんのに。」
着信拒否!?
だからさっきからずっと、優さんは何度も電話をかけ直してるんだ。
「あのね、今、温泉街にいるの。」
「…温泉?
なんで?」
「優さんに駅で待ち伏せされてて、車に乗せられた。」
「…は?
ちょっと待って。
どういうこと?」
とりあえず早口で状況を説明するけど、先生の口調がだんだん険しくなっていくのがわかった。
ドカンと爆発する感じじゃなくて、じわじわと静かに怒っていく感じ。
「すぐに迎えにいくから。」
そのまま電話は切られてしまい、私は優さんに気付かれないように、スマホを制服のポケットにしまった。
車の陰から覗いてみると、今まさに優さんは北山さんから怒られてる最中で。
「やり過ぎだろ。
誘拐してるようなもんじゃん。」
北山さんの怒った顔、初めて見たかも。
さっきからずっと、サークルの他の人達はこの成り行きを固唾を飲んで見守ってるって感じで、特別何もしないし発言もしない。
きっと優さんはサークルの中の紅一点存在で、お姫様のような扱いをずっと受けてきたんだろうな。
「別にいいじゃん。
Aちゃんがいたら裕太も来てくれるだろうし。
何がダメなの?
それなら、Aちゃんも一緒に宴会に参加すればいいわけ?」
優さんには北山さんの言ってる意味が伝わっていないんだろう。
普通なら分別がつくと思うんだ。
サークルの人達も何も言わないから、ますます優さんは増長していく。
「北山さんには関係ないじゃん。」
「つかお前ら、何で傍観してるわけ?
Aちゃんが警察にでも訴えたら、お前ら共犯になるんだけど?」
北山さんがサークルの人達に放った一言で、みんなはようやくザワザワし始める。
他人から見れば、意外と私は冷静に見えているのかもしれない。
ここで「帰りたい!」なんて泣き叫んでたら、あの人達も私に同情して助けてくれたのかな。
だけど結局私は、優さんに旅館に連れ込まれて、陽の当たらない小さな和室に閉じ込められてしまった。
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わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時