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試着室に引き返して着替えた頃には、先生はもう店に帰って来てて、優さんと何か話しているところだった。
先生は私に気付いて、
「貸して。」
って私の手から服を取り上げて、そのままレジに向かってしまう。
残された私の傍にやってきた優さんは、こそっと私に耳打ちをした。
「さっきの話、考えといてね。」
「…考える?」
「だって、受験のためだけの交際なんでしょ?
それなら、受験が終わったら裕太を解放してくれてもいいんじゃない?」
…解放。
優さんの口から出た「解放」という単語に、私は一気に打ちのめされてしまった。
解放…ってことは、私は今、先生を受験という名目の元で縛り付けてるってこと?
レジから戻ってきた先生に、
「お茶でもしない?」
って話しかけてる優さんの姿を、私は少し離れた場所からぼんやりと眺めていた。
…なんか、視点が定まってない感じ。
私、どこを見たらいいのかな。
誰を信じたらいいんだろう。
「悪いけど合宿中だから。
すぐに戻らないと。」
ニコリともしないでそう答える先生を見ながら、私はまだ視線がぼんやり定まらないまま。
そんな私を連れて、先生は駐車場への道を早足で歩いて行く。
はぐれないようにその後をついて歩いている途中も、さっき聞いた優さんの言葉がぐるぐると回っていた。
車に乗ってようやく先生に話しかけようと思ったのに、どう話していいのか言葉が浮かばずに、結局押し黙ったまま。
「…何?えらくおとなしいじゃん。」
先生はきっと、優さんと私との間に何があったかとか、全く気付いてもないよね。
「コーヒーでも買ってく?」
ドライブスルーのスタバに寄ってくれて、
「Aの好きなもの頼めば?」
とか言ってくれるけど。
「…何でもいい。」
としか言えない私に先生は、適当に甘そうなフラペチーノを頼んでくれた。
先生はホットのカフェミストをオーダーして、ホテルに戻る。
机の前にフラペチーノを置かれて、でも全然手を付けない私を見て、先生はやっぱり不思議そう。
「女子高生はみんな、こんな甘ったるいフラペチーノが好きなんじゃなかった?」
「…私は普通の女子高生じゃないし。」
「Aは普通の女子高生じゃん。」
「だからそれが嫌なんだって。」
何でわかってくれないかな。
先生が私のことを普通の女子高生だって思ってるってことは、
やっぱり私のことを、彼女じゃなくて生徒だって思ってるってことだよ?
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わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時