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そんな先生の態度が、ますます私を臆病にさせた。

先生に嫌われたら、たぶん私はこの先、誰も好きになれないまま大人になっていくんだろう。

1人きりの誕生日、1人きりのクリスマス、1人きりの年越し、1人きりの長期休暇。

…でもそれって、今までと一緒じゃん。

ずっと私は、1人なんだった。









「素直になれば?」

先生が微かにイライラしてんのも、気付いてるよ。

今日はいろいろあったし、きっと気が立ってるんだろう。

そんな時に私が困らせるようなことを言うから、そりゃイライラもするよね。

「寂しい、1人になりたくないって言えば?」

そんな棘のある言葉にも、私は返事をしない。

やっぱり先生は他人だ。

私のことを好きとか言っておきながら、受験が終わればお役御免で、成果を認められた先生は1人で栄転、的な。








そこから車内は重苦しい沈黙に包まれ、車は私のマンションではなく、先生のマンションの駐車場に着いた。

今日は送ってもくれないってわけ?

「ありがとうございました。」

車を降りて深く頭を下げれば、先生は無言で私の横をすり抜けて行く。

私の鞄を持ったまま。

「返してよ、鞄。」

「嫌だね。」

そのまま先生は、早足でエレベーターホールへ入って行く。

ボタンを押してエレベーターを待ってる先生の手から、鞄を取ろうとするけど、

ようやくこちらを見てくれた先生は、今まで見たことないくらいに冷酷な目をしていた。

「いい加減にしろよ?
Aがまだ子どもだと思って、いろいろ譲歩してきたけど。
そんなにゴネんなら、俺も実力行使に出るから。」

私の二の腕を強引に掴んで、そのまま迎えに来たエレベーターに私を押し込むと、

「優と同じように、Aを拉致するから。」

と、無表情で言われてしまった。

「幸いなことに、Aは心配してくれる親もいないらしいから、いいんじゃね。」









やっぱり強引に私を部屋に連れ込んだ先生は、ようやく鞄を返してくれた。

「冬休みの間中、Aをここから出さないから。」

鞄を握りしめたまま私があまりに緊張してるからか、頭をポンポンと撫でて、先生はようやく微笑んでくれた。

「本当はこうして欲しかったくせに。」

…わかってるよ、そんなの。

だって私は今、ありえないほど満足してるから。

…これだから大人って嫌だ。

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わかめ(プロフ) - コメントありがとうございました!返信が二か月も遅くなりまして、大変申し訳ないですー(*'ω'*)これからはコンスタントにそこそこ更新できそうです。どうぞよろしくお願いします(*'ω'*) (2018年3月8日 22時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わかめさん» ずっと更新待ってました!!!今から読みます!!! (2018年1月7日 8時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» いつもいつも、更新遅めで申し訳ないです(/ω\)引き続き読んでいただけたらうれしいです(*'ω'*) (2018年1月7日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - わああああ〜〜〜ありがとうございます (2018年1月2日 22時) (レス) id: 1599802159 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ゆきさん» お待たせいたしました。先程更新いたしました。ご期待に副えるかどうか心配ですがwwwこれからもどうぞよろしくお願いしますm(__)m (2018年1月2日 1時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2017年12月29日 22時

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