GATE １８ →

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先生はずるいよね。

可愛いとか大切とか、いとも簡単に言ってのけて。

そんな言葉を聞かされて、私がどんな気持ちになるかなんて考えてもないんじゃない？

モヤモヤしながら１人の部屋に帰って気付いたのは、

自分の中に甘酸っぱい、何とも言えない甘苦しい気持ちしか残っていないということ。

それは多分、今日先生が私の心の中の呪縛を解放してくれたから。

先生を好きでいていいって。

でもそれって、これからどうしたらいいわけ？

ちょっと前までの私の「好き」と、今の私の「好き」は、何かが違うような気がする。

…もしかしたら私は、見返りを求めてるのかもしれない。

私が好きな分だけ、先生にも私のことを好きになってほしい、みたいな。









翌日、ちゃんと登校してきた私をありえないくらいに誉めて慰めてくれたのは、何故か教頭先生だった。

「たまには息抜きもしなさい。」

って、私の手のひらにキャンディを何個も握らせてくれて。

その行為に、なんだか私はとっても安心してた。

なんだ、私はここにいていいんだ。

みたいな。

進路指導室に入ると、いつもはいない玉森先生が待ってて、

やっぱり私の胸はドキドキ早鳴りし始めるから困る。

「おはよ。
今日はちょっと、志望校についてちゃんと話しとこうと思って。
…座って。」

よそ行きの教師の顔をした先生は、いろんな大学の資料を机の前に並べ始めた。









「何か学びたいこととか、将来やりたい職業とかある？」

何も目標もなく、ただいい大学に合格すればみんなが喜ぶ、なんて漠然と考えてた私にはうまく答えられない。

ずっと無言でパンフレットを見つめている私に向かって、ようやく先生は素を出してくる。

「お前さー…、目標もないんじゃ、この先の受験勉強、絶対に行き詰まるからな？」

「じゃあ先生は何大学？」

「俺？俺はＡ大。」

「何学部？」

「理学部だけど。」

「最初から数学の先生になりたいと思って入ったわけじゃないよね？そこ。」

「…まあね。
でも自分の得意分野を冷静に考えたら、この学部が一番かなって思っただけ。」

「じゃあ、私の場合は文学部とか？」

「いいんじゃない？文学部。」

「Ａ大にも文学部ある？」

「あるよ、ほら。」

Ａ大のパンフレットを渡されて、それを食い入るように眺めてみた。

そっか、先生はここで大学生活を送ってたんだとか想像しながら、教室や学食の写真を眺める。

「じゃあ私もここにする。」

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